無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

53. ストックホルム・ケース

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2018年のカナダ・アメリカ映画

 

先月、シネマート新宿にて鑑賞

 

 

シネマート新宿のある新宿文化ビルの前身は、昭和12年(!)に創設された新宿映画劇場まで遡る(戦後に新宿文化劇場、昭和37年にはアートシアター新宿と改名し、昭和49年にビルが取り壊される)

 

そこに建設された新宿文化ビルにあった新宿文化シネマ2と3を引き継いだのが、「シネマート新宿」

 

歴史を感じさせる、そしてアジア作品の上映も多く雑多で多国籍な新宿のイメージにぴったりのミニ・シアターだ

 

狭い客席ながら、新型コロナ感染者数が三度増加しているせいか、中央の良い席でゆったり鑑賞できた

 

 

 

ストックホルム症候群」という言葉を生んだ、73年の銀行強盗・人質事件(テレビで生中継された)についての作品だということ、イーサン・ホークが主演していること、そしてボブ・ディランの曲が(4曲も)使われていることで、いそいそと出かけてしまった

 

 

ラース(イーサン・ホーク)は、アメリカへの逃走資金を得るためにストックホルムの銀行に押し入る

 

その日は銀行のすぐ近くでロックフェスティバルが行われていて、まるでそこに出掛けるかのような、被りモノの長髪にサングラス、そしてライダースジャケットという装いに大きなバッグの中には銃を忍ばせて

 

ビアンカノオミ・ラパス)ら3人を人質にして

 

・収監中の仲間グンナー(マーク・ストロング)の釈放

・逃走用の車

・逃走資金

 

を要求し、籠城する

 

 

しかし、警察署長(クリストファー・ハイアーダール)は、観ていて腹が立つほどに強気で、犯人の要求に対して時にはやんわり、時にはきっぱりと拒絶を示し、長期戦に入る

 

この辺りで、「犯人の頼りなさ」が、人質にも警察にも浸透していて、スリリングな密室劇にコミカルな要素も薄っすら出てくる

 

自然と犯人側の気持ちになって観てしまうから(確かに犯行計画とその実行の精度は超粗挽きだけど)やけに冷静で強情な警察側の態度にイライラしてしまう

 

すっかり足元を見られている犯人は、銀行強盗で籠城するのは如何に不利かということを再認識させてくれるけれど、その「どん詰まり」感に不思議と惹かれていく(これこそがストックホルム症候群か)

 

 

 

ラースの冒頭のいで立ちは、「イージー・ライダー」のピーター・フォンダみたいだし、逃走用の車には、スティーブ・マックイーンが映画で使ったマスタングをわざわざ指定している

 

ボブ・ディランの曲を口ずさむシーンはもちろん、こういったところに73年当時の、「アメリカに憧れている北欧の冴えない男性」の様子がうまく描かれている

 

ビアンカのかけているフレームの大きな眼鏡も当時の北欧っぽく?って印象的