といっても、監督をしているわけではなく、彼が地元フィンランドのカルッキラという小さな町にミニシアターを作る過程を描いたドキュメンタリー
カウリスマキ監督の仲間たちや、その暮らしぶり、そして町の様子などがよくわかる、ファンにとっては感涙モノ
引退を撤回して復帰した「枯れ葉」のあと、いったいどんな作品を作るのか気になっていたけれど、こういう形で楽しませてくれるとは思わなかった
ユーロスペースのロビーでは、手作り感溢れるキノ・ライカの展示も ↓
久しぶりに、パンフレットまで購入してしまった
かつて鉄鋼の町として栄えたカルッキラも、今では美しい森と湖、そして工場もその一部で細々と稼働しているくらい
この町の近くに長年(近年は夏季のみ)住んでいるアキ・カウリスマキは、今では使われなくなった(ちょうど所有者が変わり、改装中の)工場の一部を小さな映画館にしようと、仲間たちと一緒にとりかかる
自分たちで椅子を取り付け、スクリーンを張り、ネオンサインを設置していく
ヘルシンキに作れば数(十)倍の利益が見込めるだろうに、そうしたことにはまったく関心が無さそうな彼らの生活は、余裕と豊かさを感じさせる
本作品を監督したベリコ・ビタクは、
「冗談に聞こえるかもしれないけれど、私は本気でアメリカと日本の中間にあるカルッキラについて描きたいと考えていました。なぜならカルッキラには、ロカビリーやキャディラック、服装など60年代のアメリカを感じさせる要素があり、一方で精神的にはとても日本人に近いものを感じるからです。思慮深く静寂がある。これは日本への一方的なイメージかもしれませんが、フィンランドはヨーロッパの日本の様だと感じています。日本とフィンランドの関係は私にはとても重要なので、篠原敏武と彼の音楽はなんとしても映画に入れたかった。彼はもう、4,50年カルッキラに住んでいて、二つの文化のリンクを表している気がするからです」とインタビューの中で発言している(パンフレットより)
その篠原敏武という方の歌声は、何度も作品の中で聴くことができる(↓の予告の中では一瞬だけ)
カルッキラはヘルシンキから車で一時間くらい離れているらしいけれど、いつかフィンランドに行くときには何とか足を延ばしてみたい
明日は、川端康成原作の映画をご紹介