引用元:amazon.co.jp
2012年公開のチリ・フランス・アメリカ映画
1988年のチリで行われたピノチェト大統領の任期延長の是非を問う国民投票
現職派「Si (Yes)」と反対派「No」が投票日までの27日間、毎日深夜に15分のテレビCMを流すことが認められる
「No」を率いるメンバーのひとりウルティアは、友人の広告マン、レネ(ガエル・ガルシア・ベルナル)にCM制作を依頼する
軍事政権を敬遠してしばらくチリを離れていたレネは、政治的な仕事にかかわることに気が進まず断るも、最終的には「アドバイス程度なら」と参加を承諾する
ところが制作メンバーたちでさえもこの選挙を「出来レース」と考え、無難なCMを作ろうとしていることに失望するレネだったが、これが逆に彼のプロ意識を刺激し、チームを説き伏せながら「選挙に勝つための」CM制作にのめり込んでいく
そもそも15年にも亘る軍事政権を率いてきたピノチェトが更に8年も延長しようとして海外から批判を受けたことで始まった国民投票
就任から繰り返された数々の残虐な行為(メンバーの中にも家族が犠牲になった者も居る)に無難なCMを作ろうとするチームの気持ちも、稀に見るチャンスと捉えて国民を動かそうとするレネの気持ちもよく伝わってくる
アジェンデによる社会主義政権からクーデターによって独裁体制を固めて行ったピノチェト
前政権に対するネガティブ・キャンペーンにも、またピノチェトの選挙資金にもアメリカ政権やCIAからの多大なサポートが行われたこともあって、両政権の本当の実力(経済成長や貧困率の低下などへの貢献)は今でもよくわからないというのが実際のところだろうけれど、ピノチェトが行った左派系の誘拐(政府の公式報告書では1973年から1990年までの死者・行方不明者は3,196人となっているけれど他国からはそれ以上と言われている)拷問は、加減する要素もない残虐行為
またチリを離れて普遍的なアピール(政治でもビジネスでも)の場に置き換えて観ることも可能な作品
自分目線で制作に取り掛かるチームの中で、ひとり「お客様目線」であるべきことを訴えるレネの言い分は極めてまっとう、、ではあるけれどやり過ぎると勇み足どころか「うさん臭く」なってしまう加減の難しいところ
明日は、久しぶりにカナダ映画を(やはり素晴らしい!)