引用元:Yahoo!映画
先月末、東京飯田橋にあるホテルグランドパレスが営業を終了した
新型コロナウィルスの蔓延に伴う厳しい経営状況に加え、設備の老朽化なども重なっての決断とのこと
グランドパレスといえば、選手の名前や所属がモニター表示される前の、札に毛筆で書かれていた頃のドラフト会議が行われていた場所(1976年~1988年というよりも昭和51年~63年という方がしっくりくる?)として印象深い
昭和51年といえば海星高校のサッシーこと酒井圭一がヤクルトに、佐藤義則が阪急(現オリックス)、宇野勝が中日、斉藤明夫が大洋(現DeNA)に、63年といえば今中慎二が中日、野村謙二郎が広島、そして谷繫元信が大洋(現DeNA)に指名され入団している
その間、巨人がボイコットした年もあればKKコンビ運命のドラフトも、数々のドラマの現場となった会場
パンチョ伊東のかん高い声と共に記憶に残る場所だった
やはり手書きの方が趣はあるなあ
そして1973年8月に金大中がKCIAによって拉致(所謂「金大中事件」)された場所としての印象も強い
2年前の大統領選挙で現職に迫る票を獲得したことや、日本やアメリカの有力者と積極的に関わることで韓国の民主主義や自由選挙を推し進める原動力となっていたことなどが現職の朴政権にとっての脅威とされ、来日中訪れたグランドパレス2212室から連れ去られてしまう
朴大統領(次女が朴槿恵)は任期中(1963 - 1979年)に高度経済成長を成し遂げた一方、スパイ操作や司法殺人などによって民主化運動を弾圧したことでも知られる
犯行グループはグランドパレスで拉致した後に車で関西に、そして神戸港から工作船で釜山に向かう
釜山に着く前に海に投げ込まれる予定だったが、日本の海上保安庁の威嚇行為により犯行グループは追跡されていることを知り殺害を断念、最終的に金大中はソウルの自宅近くのガソリンスタンドで解放される
本作は日本・韓国の合作で初の同時公開だったにもかかわらず、韓国ではまったくの不入りだった模様
内容はまったく悪くないだけに不思議な結果ではあるけれど、日本との合作でこのテーマは受け入れ難いものがあったのだろうか
タイトルの「KT」は、金大中のイニシャルからとった拉致暗殺命令「KT作戦」のこと