引用元:amazon.co.jp
原題「The Lost Weekend」
なんてカッコいいタイトルだんろう
邦題の「失われた週末」も直訳とはいえ素晴らしい
ジョンレノンがオノ・ヨーコと別れて荒れた生活をしていた時期も同じくロスト・ウィークエンドと呼ばれたけれど、その呼称も本作からだろう(二人の別居期間は週末どころか三か月以上にも亘る)
ビリー・ワイルダーが監督し、1945年のアカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、そして主演男優賞(レイ・ミランド)を獲得した作品
小説家になることを夢見て、ニューヨークにでてきたドン・バーナム(レイ・ミランド)は、一向に目が出ず、次第に文章が書けなくなってきたと同時に(書けない焦りからは)飲酒を止められなくなり、今やすっかりアル中になってしまった
やさしい兄のウィック(フィリップ・テリー)はそんなだらしない弟を同居させ、生活の面倒をみながら、何とかまともな生活がおくれるようにとサポートを続けていた
そして週末を長めに取って、四日間弟と田舎へ出かけて新鮮な空気を吸わせることにする
その当日、荷物をまとめていると恋人のヘレン(ジェーン・ワイマン)が様子を見に来て、自分は今から演劇を観に行くという
田舎に行くことを先延ばしにしたいドンは、出発を数時間遅らせ、兄にヘレンと一緒に演劇に行くことを勧める
何とかしてふたりを納得させて追い出した後、家じゅうを(お酒を買う)お金がないか探すも、兄によってすっかり片付けられていた
隠していたボトルもなく落ち込んでいるところに、掃除をしてくれるお手伝いさんが給金を貰いにやってくる
アルコール中毒というテーマを柱にしたかったのか、最初から最後までドンがお酒を求めて彷徨い続けていて、ビリー・ワイルダーとは思えないほどにテンポの良さや構成の妙もない
正直なところ、アカデミー賞が獲れる作品とまでは思えないけれど、当時としては画期的なテーマだったのかもしれない
アルコールによる酩酊を表現するためか、ロージャ・ミクローシュによって映画界初のテルミンが効果的に使われている
ちなみにパラマウントスタジオは、本作をお蔵入りにすれば500万ドル払おうという酒造業界からの申し出を断っている
製作費の四倍に相当するこの金額をもし受け取っていたらアカデミー賞の四冠達成もなかったと思うと、パラマウントスタジオの英断だろう
ちなみに1945年当時の500万ドルはどれ程の価値があったのだろうかと調べてみると
この年に行われたデトロイト・タイガース対シカゴ・カブスのワールドシリーズのチケットが何と1ドル20セント!
一方過去数年の価格を見てみると平均で1000ドルくらい
微妙な例だったかもしれないけれど、パラマウントに提案された金額が、5億円どころではなかったことがよくわかる
明日は、80年代のアンソニー・ホプキンスの話題作をご紹介