新宿バルト9にて鑑賞
この劇場も、アニメ作品を劇場で観るのも、前回の作品を思い出せないくらいに久しぶり
ついでに言えばデンマーク映画も久しぶり
「真夜中のゆりかご」や「ギルティ」など、強烈な作品という印象(本作と同様に他の国との合作では「ダンサー・イン・ザ・ダーク」なども)
タイトルのFLEEとは「逃げる、逃亡」という意味
アフガニスタンのカブールで生まれ育ったアミン
父親は当局に連行されたまま戻って来ず、兄は徴兵される前に祖国からスウェーデンに脱出、残された病弱の母親と子供たちは祖国に暮らしていた
ところが(周囲の男性が当局に身柄を拘束されたり)いよいよ身に危険を感じるようになり、家族でロシアに逃げる
兄からの送金によって、モスクワでの一時的な生活が始まるものの、ビザが切れたことで不法移民となってしまい、気分転換に外出(警察の拘束、或いは賄賂の要求から逃れるため)するにも細心の注意を払っていた
モスクワに来るまでにも大きなリスクを冒してきた(高額な料金を怪しい密入国ブローカーに支払った上に、寒さや飢えや衛生面において劣悪な環境に耐えてきた)アミンたちだったが、モスクワからスウェーデンまでは更に高額な費用をブローカーに支払う必要があった
兄の仕送りでは全員分の金額を用意するのは無理があり、アミンたちは一年以上モスクワに足止めされてしまう
幼いアミンがカブールで遊んでいる頃にa-haの「テイク・オン・ミー」を聴いていたことから推測すると、時代は80年代中頃
社会主義政権に抵抗するイスラム主義のムジャーヒディーンが蜂起し、アフガニスタン戦争が続いていた
そしてソ連軍がアフガニスタンに侵攻し、多くの国民が「逃亡」を余儀なくされるという(混乱が長く続く中でも)特に厳しい時代
途中に当時の街の様子などの映像が流れる
その中のひとつは、マクドナルドの一号店オープンに市民が群がっている映像
ちなみに ↓ のツイートが話題に
この方は、32年前の開店時に3時間並んで入店した時に貰った記念バッジと、先日マック撤退後にオープンした「フクースナ・イ・トーチカ(「美味しい それだけ」という意)開店時に入手したバッジを並べている
それにしても「美味しい それだけ」という言葉には、「口に入ってしまえば同じ」的な、何とも味気ない響きがあるし、国としてアメリカ企業に撤退されたことが不快なのであれば、こんな偽物的な店を作らなければいいのに
飲食店を作るにしても、ピロシキのファーストフード店にする方が良かったのに、、
犯罪者でもなく、政治的な活動をしていたわけでもないアミン達の苦労を観ていると、母国の安全について考えさせられると同時に、パスポートを普通に申請、取得できるという自由の有難さを改めて感じる
しかもそのパスポートは世界でもトップランクの自由度なのだから(といってもそんなに海外に行ける経済的、時間的自由は無いけれど)