無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

110. キャディラック・レコード

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伝説のミュージシャン、シンガーを映画化すると、オリジナルの偉大さにキャラ負けしてしまうことが多い

 

真似できないくらい強烈な存在だったからこそ伝説になったことを考えると、無理もない

 

よほどの思い入れと自信がなければ「演じたくない」と思う役者も多いだろう

 

本人になりきる演技をするのは、オリジナルを越えるくらいの(或いは許される範囲で違った種類の魅力で)パフォーマンスができないと、作品として見劣りしてしまうけれど、それを叶えるのは映像技術を駆使したとしても並大抵のことではない

 

 

ビヨンセが偉大なソウルシンガーを演じた「ドリームガールズ」も観たけれど、いづれの作品においてもまったくひけを取ることなく堂々と演じていた

 

他の女優が演じても、ここまでの存在感は出せなかっただろうし、やり過ぎてオリジナルのイメージを壊すこともなく、できる限り忠実に再現しようとしていたのは、先人へのリスペクトを感じる

 

モータウンデトロイト)でスプリームスのダイアナロスに扮した「ドリームガールズ」と、シカゴのチェス・レコードでエタ・ジェイムスを演じた本作では、個人的な好みでも、ビヨンセのタイプ的にも(彼女の声にはダイアナ・ロスの全盛期の様なキラキラ感はないけれど、エタ・ジェイムスに近づけるくらいの重量感がある)本作に軍配が上がる

 

そしてリトル・ウォルターやマディ・ウォーターズなど、周囲のアーティストの個性や、街自体が醸し出す雰囲気においても、当時のギラギラした感じをより再現できているのは本作だろう

 

 

エタ・ジェイムスは学生の頃から聴き続けてきたシンガーなだけに「映画を観ると(本物と比べてしまって)がっかりするだろうな」と思いつつ覚悟して鑑賞したけれど、まったくの杞憂だった 

 

 

 

1947年のシカゴ、それまでバーを経営していたポーランド移民のレナード・チェスは、ブルース・ギター、ヴォーカリストマディ・ウォーターズハーピストのリトル・ウォルターを雇ってブルースを聴かせていた

 

売れたアーティストにはキャディラックをご祝儀として買い与えることができるほどにビジネス的に成功を収めていたところに、チャック・ベリーやエタ・ジェイムスなど個性の強い新人が加入し、チェスは黄金期を迎える

 

ところが、その頃からリトル・ウォルターの健康問題や、アーティストのエゴなど、レナードが頭を抱えるトラブルが止まらなくなる

 

 

2008年のアメリカ映画