無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

97. 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

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2017年公開の映画

 

タイトルにはアタマに「映画」と付く

 

公開時に新宿の映画館で、まったくレビューも読まずにふらっと立ち寄って観た

 

 

 

昼間は看護婦として、精神的にも肉体的にも厳しい環境で働き、夜はガールズバーでアルバイトをする美香(石橋静河

 

自殺した母親の死を消化できず、その意味を問い続けながら、昼間のストレスを夜のアルバイトの虚無感で浄化しているような毎日を送っている

 

 

建設現場で日雇いとして働く慎二(池松壮亮)は、出稼ぎのフィリピン人、中年の同僚たちと一緒に働いているが、左目の視力がほとんどなく、将来に漠然とした不安を抱えていた

 

 

ある日、いつもの仲間たちと連れ立って入ったガールズバーで、慎二は美香に出会う

 

「何かひっかかる」ものを感じながらも留まっているわけにもいかず、仕事を終えて店を出た美香だったが、深夜の渋谷の雑踏の中で、帰宅途中の慎二に再び会う

 

 

ぶっきらぼうだし、それを無理に変えようともしないけど、自分なりに正直に生きているように見えるこの二人は、互いに似たところを感じ少しづつ惹かれていく

 

 

 

最果タヒの詩集をベースにした作品と聞き、本作に対するいい意味での違和感というか(商業ベースに乗った通常の映画作品とは違った)新鮮さに納得がいった

 

こういう映画を観ていると、キャラクターの不器用さや、頭でっかちな考え方に集中力を削がれることもある(好きな表現ではないけれど、いわゆる「素人臭い」というのはこういう感覚に近いのだろう)けれど、本作にはそうしたストレスもなく最後まで楽しめた

 

少し表現下手で、世慣れていない言い回しだとしても、取り繕っていない二人の科白には共感できるものがあるし、そういうキャラクターを二人とも巧く演じていたと思う

 

 

月に数本の映画しか観ていない時期だったら本作には出会えなかった

 

そう思うと「数をこなす」ことにもそれなりの意味があるかも、と普段の行動を肯定された気がして(肯定しているのも自分だけど)いい気分になった