引用元:amazon.co.jp
タイトルからも上のポスターからも想像することは難しいけれど、原発をテーマにした2013年フランス、オーストリア合作品
これまで職を転々としてきた青年ゲイリー(タハール・ラヒム)は、原子力発電所の作業員として働くべく、身体検査、書類のサイン、さらには講習を受けて働き始める
新人として、主任のギレスやベテランのトニーにアドバイスを受けながら仕事を覚えていくゲイリーだったが、ふとしたきっかけからトニーの彼女キャロル(レア・セドゥー)と関係を持ってしまう
職場は危険極まりなく、放射線汚染量が一定数値を越えた同僚は、次々とその場を去っていく
彼らにとってそれは「食い扶ちを失ってしまう」ことを意味する
そしてゲイリーにとっては「キャロルとの別れ」にも直結する
人目を避けながらキャロルとの密会を続ける間にも、ゲイリーの身体は少しずつ汚染されていき、やがて偽装工作をしてまでも今の生活を続けようとする
キャロルと密会する湖でのシーンでは、美しい自然の中で抱き合う二人のバックに不気味に聳(そび)え立つ原発が見える
この作品に明白なメッセージは無く、危険を冒して勤務を続けること、先輩の彼女と深い仲になること、そして退廃的で刹那的な生活を送る同僚たちに対しても、良いも悪いも無く、唯々、ある種異常な生活が流れていく背後に、暗喩のような原発がある
仲間内でふざけ合っている時の会話で、同僚のあだ名を
「チェルノからフクシマに変えたら?」
という台詞にゾッとさせられた
身近な問題として現実を再認識させてくれる