無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

897. ツレがうつになりまして。

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引用元:amazon.co.jp

 

2011年の作品

 

ずっと前から観ようとは思いながらも

 

「元気のある時に、、」

 

と言い訳(いつも元気なクセに)してきたけれど、やっと観ることができた

 

 

 

PCのコールセンターで働く幹夫(堺雅人)は、仕事もソツなくこなし、朝は自分でお弁当を作る

 

お弁当に入れるチーズの種類と、身に付けるネクタイは曜日ごとに決められている

 

妻の晴子(宮崎あおい)は漫画家ではあるけれど、唯一の連載も読者の反応は芳しくない

 

ふたりはペットのイグアナ(名前はイグ)と一緒に仲良く暮らしていた

 

 

ある日、いつもの様にお弁当を用意しながら「イグ、お前はいいなあ 食欲があって

 

と幹夫が嘆く

 

最近は夕食も美味しそうに食べないし、腰が痛い背中が痛いとこぼしていたことに晴子は思い当たり、翌朝幹夫が「死にたい」とつぶやくのを聞き、病院に行かせる

 

 

心因性うつ病と診断された幹夫は、医師から「うつ病は誰しもがかかる可能性のある心の風邪、元に戻るまでには半年から一年はかかる」と言われる

 

それでも「自分が辞めるとまわりに迷惑が、、」と、ストレスの多い職場を離れようとしない幹夫に対し、晴子は

 

「会社を辞めないんだったら離婚だよ」と告げる

 

 

 

 

鬱を患う本人はもちろん、サポートする側の苦労も描かれているけれど、決して暗くはなく、またそれに伴う経済的な問題等にはフォーカスされていない

 

娯楽映画としてよく考えられたバランスであり、この方が(シリアスに作るよりも)言いたいことが伝わると思う

 

と好意的なコメントだけで終わろうと思ったけれど、気になる点がふたつ

 

 

ひとつは、稲刈りの様な伏線の回収と、漫画のキャラクターが空を舞うCGは、過剰に感じられた

 

もうひとつは、妻の晴子が夫を、ツレと呼んでいること

 

人前でそう呼ぶのは気にならないけれど、ふたりで過ごしている時にツレと呼ばれるのは堪えると思う(幹夫は受け入れているのか、気にならないのか、その呼び方に特別な反応はしない)

 

家族の一大事にちゃんとSOSを発信し、サポートし続ける善き妻ではあるけれど、冒頭から彼女の「無自覚に無神経な部分」が引っかかる

 

それもキャラクターの一部として描きたかった(少なくとも宮崎あおいはそこも含めて完璧に演じていたと思う)ことであれば感服するしかないけれど、どうなんだろう?

 

タイトルにもなっている手前、仕方ない気もするけれど、この無神経さが、ツレという呼び方に象徴されているように感じられた

 

 

明日は、大好きなキアロスタミ監督作品を紹介します

 

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