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「羅生門」は教科書で読んだ
調べて観ると、現在の高校教科書のすべてに掲載されているという
老婆が死体の髪の毛を引き抜いているところなど、究極的に飢えた人間がどういう心理でどんな行動にでるのか
10代の自分にどれほど想像できたのか?今となっては不明だけれど、強烈なインパクトを与えてくれた
文学というよりも、おどろおどろしい世界への好奇心で惹かれていたと思う
芥川龍之介の同名小説からは大幅な脚色がなされている(同じく芥川の「藪の中」のストーリーと巧くミックスしている)脚本は、黒澤明と橋本忍
舞台が羅生門というくらいで、内容はほぼ「藪の中」ではあるけれど、「羅生門」というインパクトのあるタイトルにしたのは正解だと思う
杣売り(そまうり 焚き木売りのこと)、旅法師、そして下人
杣売り(志村喬)と旅法師(千秋実)は、ある殺人事件の参考人として検非遺使に出頭した帰りだった
殺人事件とは、武士の金沢が山中で殺されていると三日前に杣売りが届け出たもの
杣売りは下人(上田吉次郎)に事件の取り調べについて話し始める
金沢を殺したとして連行された多襄丸(三船敏郎)によると、
自分は、金沢が連れていた妻の真砂(京マチ子)を手籠めにし、その場を立ち去ろうとすると、真砂から「二人のうち勝負に勝った方について行く」と言われ、金沢と決闘することに
真剣での互角の戦いも、最終的に自分が勝ち、金沢は死んでしまう
しかし、その時には真砂の姿はどこにも見当たらなかった
一方、真砂の証言は
多襄丸に乱暴された後、夫から蔑んだ目で見られた真砂は、耐えられなくなり夫を短刀で刺してしまった
また金沢(殺されてしまったので巫女使って呼び出した)の証言は
多襄丸は自分の妻を暴行した後「自分の妻にならないか」と言い、真砂も「私を連れて行ってください そしてあの人(自分)を殺してください」とまで言う
あまりの状況に耐えられず、二人が立ち去った後に自ら命を絶つ
食い違う三人の良い分、しかし杣売りはこの一部始終を草むらから見ていた
「去年マリエンバートで」に影響を与え、最近では是枝監督の最新作「怪物」にも使われた、時代を超えてアピールするストーリー
明日は、ジム・ジャームッシュのオムニバス映画をご紹介