無人島シネマ

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869. 去年マリエンバートで

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引用元:Yahoo!映画

 

1961年のフランス・イタリア合作

 

タイトルだけはずっと前から知っていたけれど、ようやく観ることができた

 

驚いたのは、つい最近鑑賞した黒澤明の「羅生門」に触発されて作られたものであること

 

両作品の雰囲気のあまりの違いに、まさかこうした繋がりがあろうとは思わなかった

 

 

 

とあるホテルで出会った男女

 

男X(ジョルジュ・アルベルタッツィ)は「去年お会いしましたね(そして愛し合いました)」と女A(デルフィーヌ・セイリグ)に言い

 

女は「そんなことは憶えていない」と言う

 

男は諦めずに去年どんな場所で、どういった会話をして、何が起こったのかをひとつひとつ女に説明していく

 

頑なに否定する女だったが、断片的に思い出せるような気がしてくる

 

AとXによる食い違う回想、そして最後にAの夫のM(サッシャ・ピエトフ)による「去年マリエンバートで実際に何があったのか」という証言

 

という構成はまさに「羅生門」(というか内容的には芥川龍之介の「藪の中」)ながらも、即物的な「羅生門」に対して本作は対極にあるくらい哲学的

 

始まって15分くらいで観念しつつ

 

「果たして最後まで鑑賞できるのか?」

 

と不安になりながら、案外最後まで楽しめた

 

早目に覚悟を決めたこともあるし、建築や庭園、そして衣装を楽しみながら観られたお陰かもしれない

 

 

ちなみにマリエンバートとは、チェコの街の名前(チェコ語でマリアーンスケー・ラーズニェ、マリエンバートという読み方はドイツ語)

 

温泉がある保養地で、19世紀半ばから豪華な保養施設が建てられ、遠くからも富裕層が訪れるようになったらしい

 

 

明日は、偽装家族が登場する映画をご紹介

 

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