引用元:Yahoo!映画
1961年のフランス・イタリア合作
タイトルだけはずっと前から知っていたけれど、ようやく観ることができた
驚いたのは、つい最近鑑賞した黒澤明の「羅生門」に触発されて作られたものであること
両作品の雰囲気のあまりの違いに、まさかこうした繋がりがあろうとは思わなかった
とあるホテルで出会った男女
男X(ジョルジュ・アルベルタッツィ)は「去年お会いしましたね(そして愛し合いました)」と女A(デルフィーヌ・セイリグ)に言い
女は「そんなことは憶えていない」と言う
男は諦めずに去年どんな場所で、どういった会話をして、何が起こったのかをひとつひとつ女に説明していく
頑なに否定する女だったが、断片的に思い出せるような気がしてくる
AとXによる食い違う回想、そして最後にAの夫のM(サッシャ・ピエトフ)による「去年マリエンバートで実際に何があったのか」という証言
という構成はまさに「羅生門」(というか内容的には芥川龍之介の「藪の中」)ながらも、即物的な「羅生門」に対して本作は対極にあるくらい哲学的
始まって15分くらいで観念しつつ
「果たして最後まで鑑賞できるのか?」
と不安になりながら、案外最後まで楽しめた
早目に覚悟を決めたこともあるし、建築や庭園、そして衣装を楽しみながら観られたお陰かもしれない
ちなみにマリエンバートとは、チェコの街の名前(チェコ語でマリアーンスケー・ラーズニェ、マリエンバートという読み方はドイツ語)
温泉がある保養地で、19世紀半ばから豪華な保養施設が建てられ、遠くからも富裕層が訪れるようになったらしい
明日は、偽装家族が登場する映画をご紹介