無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

359. 薄化粧

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引用元:amazon.co.jp

 

1985年の作品

 

愛媛県新居浜にある別子銅山(元禄3年から昭和48年まで282年間稼働)で働いていた坂根(緒形拳)は、落盤事故による会社からの保証について経営陣と交渉する中心にいた

 

威勢のいい彼を黙らせるため「これで従業員たちを抑え込んでくれ」と経営陣は坂根に多額の金を握らせる

 

ところが坂根はそれを仲間に分け与えることもせず、未亡人のテル子(浅野温子)と深い仲になり妻と息子をもないがしろにする

 

或る日、逆上した妻のふくみ(浅利香津代)と揉み合いになった際に勢いで殺してしまった坂根は、息子も殺害して軒下に埋めてしまう

 

 

逮捕された坂根は、暴力的な取り調べ(刑事役の川谷拓三が恐ろしい)から逃れようと、隠し持っていたカミソリで自分の首を切るも、奇跡的に一命をとりとめる

 

その後、蛇のように(この形容は後々坂根についてまわることになる)穴を掘って脱獄し、身分を偽りながら各地を転々とする生活を送るようになる

 

 

逃亡生活中、坂根は飲み屋を営むちえという女(藤真利子)と出会い深い仲になる

 

情事の後、ちえが半ばふざけて坂根に眉墨を引くと、嫌がっていた坂根は鏡の中にいる見たこともない自分の姿に驚く

 

それからは、坂根は外に出る時にはいつも化粧をして出掛けるようになる

 

 

 

 

原作者の西村望香川県の出身

 

新居浜別子銅山の問題はかなり身近なものだったのだろう

 

しかし本作のキャッチコピーとして

 

「この話は実話である 昭和二十四年 夏、事件はここで この場所でおこった」

 

と、どこまでが事実なのかの説明もなく宣伝されると、銅山の会社としては(本作公開時には閉山していたとはいえ)さぞ複雑な心境だったろう