
引用元:ハピネットファントム・スタジオ
2022年の12月に公開された映画
素晴らしいと話題になっていたこともあって、劇場で観ようと思いながら、唯でさえ忙しい師走に、しかも「ザリガニの鳴くところ」や「そばかす」、「柳川」などの観たい作品に翻弄されているうちに観逃してしまった
東京の下町に住むケイコ(岸井ゆきの)は、生まれつきの聴覚障害で両耳が聞こえない
当初は「危険だから」と所属させてくれるジムさえ見つからなかったケイコを、受け入れてくれた会長(三浦友和)やスタッフのサポートにも恵まれ、プロとしてのキャリアをスタートさせる
ところが、戦後すぐに先代が立ち上げたというジムは、経営も厳しく、また会長の健康問題もあり、近く閉鎖されるのではという噂もたちはじめる
ホテルの清掃員としての仕事をこなしつつ、二か月先の試合に向けて、「そこまでしなくても」という家族の声を退けながら、ケイコは複雑な思いのまま練習を続けて行く
なぜ仕事を持つ若い女性が、聴覚障害という大きなハンデを抱えながら真剣にボクシングをするのか?という疑問は、この映画を観ているひとりひとりにも「何故生きるのか?」と問うているようにも思えた
同じ様に、閉鎖を余儀なくされたジムに、ケイコのボクサー寿命を重ねたり、目の良さでハンデを補うケイコと、年々視力が衰えて行く会長を対比させたりすることで、彼らの生活が浮かび上がってくるような作品
エンドロールでは、10秒おきくらいに切り替わる墨田川周辺の景色をバックに、街の音だけが静かに流れる
最後まで作品の余韻に心地良く浸ることができた
エンドロールで退屈したり、余韻を邪魔されたりする作品も少なくないだけに、本作の秀逸さが更に引き立つ終わり方
2022年の年の瀬、万難を排して(大袈裟)劇場に観に行くべきだったなあ
明日は、普段観ないタイプのアメリカ映画をご紹介