
引用元:eiga.com
何とも気まずい状況がさらに悪化していく、、堪えられない不快感
この感覚、どこかで味わったぞ、と本作のクレジットを確認して、「フレンチアルプスで起きたこと」、そして「ザ・スクエア 思いやりの聖域」の監督、リューベン・オストルンドを知り、妙に納得
この下世話な「あるある」の連続によって、不快指数を極限まで高めていくのが、彼の真骨頂
絶妙にズレる会話、意図せず棘を持ってしまう言い方、そのフォローが火に油を注ぐ地獄絵図の中で、タクシーのワイパーが擦れる音だったり、虫が身体の回りを飛び回ったり、赤ん坊が泣き叫んだり、、
整った容姿ながらモデルとしては中途半端な位置にいるカール(ハリス・ディキンソン)
今が旬のモデルでありインフルエンサーのヤヤ(チャールビ・ディーン)とつきあってはいるものの、ふたりの力関係を残酷に示すような彼女の自分に対する扱いに、我慢の限界が近づいていた
無料招待された豪華客船クルーズの船内でも、ディナーの支払いや、クルーへの態度などで揉めてばかり
この二人の他にも、我儘なリクエストで不満を解消するロシア人夫婦や、武器商人のイギリス人老夫婦など、エゴの塊のような金持ちたちを乗せた客船は、突然の悪天候により難破し、無人島に辿り着く
どんな無理難題にも応えてくれるクルーに甘やかされていた客たちは、水も食料も、風呂も空調も無い環境に放り出されてしまった
もはや客の要求に応える必要も無いクルーと同じ立場になってしまった富豪たちだったが、火を起こしたり魚を捕まえたりするサバイバル能力の無い彼らは、クルーよりも弱い立場になり、新たにキャプテンとなったトイレ掃除の中年女性アビゲイル(ドリー・デ・レオン)の命令に従う羽目に
大富豪、ファッションモデル、インフルエンサー、、誰もが憧れる肩書きや立場が、何の役にも立たない状況の残酷さと滑稽さを、これでもかと描く
モデル兼インフルエンサーのヤヤを好演したチャールビ・ディーンは、残念ながら本作が遺作になってしまった
明日は、若山富三郎主演作品をご紹介