無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1554. 逆転のトライアングル

引用元:eiga.com

 

何とも気まずい状況がさらに悪化していく、、堪えられない不快感

 

この感覚、どこかで味わったぞ、と本作のクレジットを確認して、「フレンチアルプスで起きたこと」、そして「ザ・スクエア 思いやりの聖域」の監督、リューベン・オストルンドを知り、妙に納得

 

 

この下世話な「あるある」の連続によって、不快指数を極限まで高めていくのが、彼の真骨頂

 

絶妙にズレる会話、意図せず棘を持ってしまう言い方、そのフォローが火に油を注ぐ地獄絵図の中で、タクシーのワイパーが擦れる音だったり、虫が身体の回りを飛び回ったり、赤ん坊が泣き叫んだり、、

 

 

 

整った容姿ながらモデルとしては中途半端な位置にいるカール(ハリス・ディキンソン)

 

今が旬のモデルでありインフルエンサーのヤヤ(チャールビ・ディーン)とつきあってはいるものの、ふたりの力関係を残酷に示すような彼女の自分に対する扱いに、我慢の限界が近づいていた

 

 

無料招待された豪華客船クルーズの船内でも、ディナーの支払いや、クルーへの態度などで揉めてばかり

 

この二人の他にも、我儘なリクエストで不満を解消するロシア人夫婦や、武器商人のイギリス人老夫婦など、エゴの塊のような金持ちたちを乗せた客船は、突然の悪天候により難破し、無人島に辿り着く

 

どんな無理難題にも応えてくれるクルーに甘やかされていた客たちは、水も食料も、風呂も空調も無い環境に放り出されてしまった

 

もはや客の要求に応える必要も無いクルーと同じ立場になってしまった富豪たちだったが、火を起こしたり魚を捕まえたりするサバイバル能力の無い彼らは、クルーよりも弱い立場になり、新たにキャプテンとなったトイレ掃除の中年女性アビゲイル(ドリー・デ・レオン)の命令に従う羽目に

 

 

大富豪、ファッションモデル、インフルエンサー、、誰もが憧れる肩書きや立場が、何の役にも立たない状況の残酷さと滑稽さを、これでもかと描く

 

モデル兼インフルエンサーのヤヤを好演したチャールビ・ディーンは、残念ながら本作が遺作になってしまった

 

 

明日は、若山富三郎主演作品をご紹介

 

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