
引用元:uplink
11月14日からアップリンク吉祥寺、恵比寿ガーデンシネマほか全国で順次公開される
チリのドキュメンタリー映画監督、パトリシオ・グスマンの長編デビュー作「最初の年:民意が生んだ、社会主義アジェンデ政権」の先行上映を観てきた
1972年作品の2Kレストア版
ということは、アジェンデ政権の激動のプロセスをリアルタイムで収めた貴重な映像になる
1970年、チリでサルバドール・アジェンデが大統領に就任し、社会主義への変革が始まる
以前、「コロニア」という映画の紹介でも触れたけれど、この時代のチリに興味を持ったきっかけは、深田祐介の「革命商人」という本を勧められて
その時のもっと知りたいという熱が再び沸き起こり、満たされるドキュメンタリー作品
民衆の前で揚々と演説するアジェンデの様子や、彼に握手を求め取り囲む民衆の姿
また環境の改善に喜びながらも賃金の改善を求める炭鉱夫や、奪われた土地を使用を求める先住民の姿なども
彼ら(マプチェ族)にしてみれば、16世紀に侵略してきたスペイン人に始まり、直近のアメリカ人まで、次から次へと搾取を繰り返す外国人を追い出してくれるアジェンデが掲げる思想として社会主義が受け止められているのがわかるし、この状況であれば誰しも新政権を応援するだろうと思った
同じように、以前は家でお腹を空かせていた子供たちが、学校でお昼ご飯をたっぷり食べることが出来るようになったり、銅山での労働時間がアメリカ企業だった時の半分になれば、社会主義万歳となるのもよく理解できる
またフィデル・カストロが、チリを訪れた際の映像には、50年代にキューバ革命を起こし社会主義国家を作り上げた英雄が、これから同じ思想を掲げてチリ国民を団結させようとするアジェンデを心から応援しようとしている様子や、(本作には一切登場しないものの)革命後にキューバを離れ、ラテンアメリカの革命を目指し活動したチェ・ゲバラの功績もうかがえる(カストロを歓迎する民衆が掲げる旗や、その後ろにある壁画に彼の顔が描かれている)
貴重な映像に必要な説明を加えた、純粋なドキュメンタリー作品なので、商業映画としては物足りない部分も感じる(アメリカ企業の幹部が、アジェンデ政権誕生前にビジネスや生活を謳歌していた様子や、会社や立場を奪われて慌てて逃亡する様子、また何故アジェンデ政権が続かなかったのかを示す映像も観たかった)けれど、そこまで都合よくフィルムに収められていなかったのだろう
実際の映像や音声で振り返ることが叶った嬉しさと同時に、その後のピノチェト政権と彼の数々の残虐行為(それを見て見ぬフリするアメリカ政府)などを描いた作品も、ドキュメンタリーではなくても観てみたい
ちなみに観客は9割以上がシニア世代、、予想通りとはいえ若い世代に(こんなにも惹きつけられる映像作品の情報が届いていない、或いは響いていないのは)少し残念
この状況を予期していたのか?倉悠貴という20代の俳優が案内人をつとめる6分を超える予告編も公開されている(↓)ので是非ご覧いただきたい