無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1303. 野良犬

引用元:amazon.co.jp

 

黒澤明監督初の犯罪サスペンス映画

 

というのに惹かれて鑑賞

 

 

 

刑事の村上(三船敏郎)は、射撃訓練から帰る途中のバスの中で、拳銃を掏られてしまう

 

犯人に逃げられ、しかも7発も装填していたとあって、激しく落ち込む村上だったが、署内のスリ係に相談して過去の記録を調べ、お銀というスリ師(岸輝子)を問い詰める

 

お銀はシラを切るも、最後には「闇市でピストル屋は袖を引いている」というヒントを与える

 

早速、闇市を歩き回って、闇取引の現場を突き止めた村上だったが、ここでもまた売人の男に辿り着く前にその女を捕まえてしまい、肝心の男には逃げられてしまう

 

そんな中、淀橋(新宿駅西口の一帯、今でいう副都心辺り)で強盗傷害事件が発生し、使われた銃弾を調べた結果、村上の拳銃が使用されたことが判明する

 

自らの失態が与えた影響の大きさににショックを受けた村上は、辞表を提出するも「君の不運は君のチャンスだ」と上司から謎に励まされ、辞表は破られてしまう

 

淀橋署のベテラン、佐藤刑事(志村喬)と組んで捜査を再開した村上は、拳銃ブローカーの本多(山本礼三郎)に焦点を絞り、彼が野球好きと知る

 

そして向かった後楽園球場での逮捕に成功する

 

本多の所持品にあった米穀配給通帳* から 、拳銃は遊佐という男(木村功)の手元にあることがわかる

* 1941年(昭和17年)から1981年(昭和56年)まで、食糧管理制度の下で米の配給を受けるために発行されていた

 

遊佐の実家を訪ねた二人は、彼の姉から「弟は復員の時の帰りの電車で全財産の入ったリュックを盗まれ、そこから道を踏み外した」と聞かされる

 

それは村上が復員の際に体験したのとまったく同じことだった

 

 

 

さすが黒澤明というべきか、なかなか人間模様の入り組んだサスペンス

 

駄々っ子の様にいつまでも自分の失態を悔いる村上の姿が少しクドく感じられたのと、米の配給帳から拳銃の持ち主が判明するところ(仕組みが理解できない)の他は、観応えのあるストーリーだった

 

皆が猛暑の中で汗びっしょりな姿に、昔よりも気温が上昇しているという事実が疑わしくも感じられたりもする

 

 

ちなみにあのPTA(ポール・トーマス・アンダーソン)も、本作へのオマージュとして「マグノリア」の中で警官が拳銃を紛失するシーンを撮影している

 

 

明日は、穏やかなロバート・デ・ニーロが楽しめる作品をご紹介

 

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