引用元:video.unext.jp
数年前に読んだ「マッドジャーマンズ」というタイトルのコミックが、頭を離れない
1975年にポルトガルから独立したモザンビークは、1979年に(社会主義の兄弟国として)東ドイツと国家間協定を結び、将来の国家エリート候補として1989年までに約2万人を送り込んでいる
しかし実態は、語学研修の後に安い労働力としてコキ使われ、プライベートは寮生活で制限され、給与の60%は天引きされた
そしてベルリンの壁が崩壊すると、ビザが発給され亡くなり、右翼に襲撃され、居場所を失ってしまう
モザンビークに帰った者は、「マッドジャーマンズ(Made in Germany)」として白い目で見られ、天引きされた給与を受け取ることも出来なかった
本作は、その少し後の90年代、お隣のベルギーでの話
イゴール(ジェレミー・レニエ)は、自動車修理工の見習いとして働きながら、父親のロジェ(オリヴィエ・グルメ)の仕事を手伝っていた
それは(主にアフリカからやってくる)不法移民たちへの仕事の斡旋業だった
彼らに与えている住宅のメンテナンスや、仕事のケア、また移民局や警察に見つからない様にするのに忙しく、修理工の仕事に遅刻するのを繰り返し、クビになってしまう
そんなある日、移民局の抜き打ち検査があり、ロジェとイゴールは慌てて移民たちを退避させていた
ところが、それに焦った移民の一人、ブルキナファソから来たアミドゥ(ラスマネ・ウエドラオゴ)が、高所の作業現場で足を滑らせ落下してしまう
イゴールはアミドゥに声を掛けながら病院に連れて行こうとするも、警察沙汰を恐れるロジェはそれを制し、アミドゥをコンクリートで埋めてしまう
翌日、アミドゥの妻アシタの様子を、ロジェに頼まれて見に来たイゴールは、逆にアシタから不在の夫について問い詰められる
ダルデンヌ兄弟の作品はどれもそうだけど、多くの登場人物の生活が八方塞がり
普通は、不法移民の仕事の斡旋をしていれば(逮捕されるリスクはありながらも)お金儲けしているものなのに、ロジェとイゴールの暮らしぶりを見る限り「わざわざそんな危険な仕事をしなくても」と思ってしまう
自国民が仕事に就けない状況で、移民の問題を解決するのは難しい問題、というよりも安定した労働人口確保の為に投資するくらいの覚悟がなければ成り立たないだろう
この映画を観るまではブルキナファソについて何も知らなかったけれど、unicefの「ブルキナファソってどんな国?」というページでも紹介されている
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