無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1216. 母なる証明

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引用元:cinemacafe.net

 

アメリカ映画が続いたので、今回は2009年の韓国映画

 

ポン・ジュノ監督作品の中でも大好きな「母なる証明

 

 

 

女手一つで知的障害のある息子トジュン(ウォンビン)を育てる母(キム・ヘジャ)は、漢方薬店で働くも生活はひどく貧しい

 

そんな二人が暮らす静かな田舎町である夜、近所に住む女子高生のアジョンが何者かによって殺された

 

そして容疑者として息子の身柄が拘束されてしまう

 

 

息子はその日、友人のジンテ(チン・グ)に約束をすっぽかされてしまい、酒に酔った状態で帰宅しようと夜道を歩いていた そしてその少し前をアジョンが歩いていたのだった

 

現場の空き家から息子の持っていたゴルフボールが見つかり、また警察の(障害を利用したような)誘導尋問もあって逮捕されていしまう

 

いい加減な捜査で済ませようとする警察やヤル気のない弁護人に業を煮やした母は、息子の潔白を信じて自ら真犯人を探す

 

 

 

 

タイトルからヒューマン・ドラマだと思って観てしまうけれど、ミステリーの要素も強く、本作の様にふたつの要素がしっかり混在しているのは名作の典型だよなあ、と改めて感じた

 

母親がダンスするシーンがある

 

状況からするとかなり唐突なダンスで、比喩としての演出であることが明らかなのだけれど(何だか操られている気がして)通常は良い気がしない

 

珍しく本作ではそれが自然に受け入れられたし、それを必然だと理解できたことに監督の力量と脚本の質の高さを感じさせる

 

 

本作の中で圧倒的に中心に存在し、息子の潔白を証明する為とはいえ、異常に見えるほどに思い切った決断と行動に出る母親

 

その狂気、常識からの逸脱も含めて「世の母親に共通する想い」として描こうとしたのか、本作でキム・ヘジャ演じる母親には役名が存在しない

 

 

明日は、厳しい寒さが伝わって来る作品をご紹介