引用元:filmarks.com
時は1976年、ニースにあるカジノの筆頭株主であるルネ(カトリーヌ・ドヌーブ)は、自らも広告を担当、献身的な弁護士・モーリス(ギョーム・カネ)のサポートも得て、万全の体制と信じていたところ、オーナーを任せていた男の背信行為によって、経営は一気に傾いてしまう
そんな中、アフリカに移住していた娘のアグネス(アデル・エネル)が、離婚してニースに戻ってくる
カジノの経営を立て直すため、モーリスの強い助言もあり、ルネは自らオーナーに就任するも、同時に自分をマネージャーにと迫るその勢いに危険を感じて、彼を遠ざけるようになる
一方で、いつも自分よりもビジネスを優先する母親に対抗心を持つようになったアグネスは、モーリスに積極的にアプローチする
新マネージャーには、複数のカジノを取り仕切ってきたベテランの男が就任することになり、その人事に激怒したモーリスは、ルネのカジノを乗っ取ろうと画策するイタリアンマフィアに接近する
ルネは、モーリスの虚栄心が強すぎること、そして何よりも妻子持ちであることを指摘して、深い仲にならないように諭すも、母親に反発する娘にとっては逆効果で、アグネスはよりモーリスに傾いていく
一見、身を粉にしてカジノ再建に邁進するも、周囲から裏切られる「不運な経営者」に見えるルネではあるけれど、トラブルの遠因はすべてルネにあるとも言える
世の中にはルネよりも楽をして経営に成功している人も多いけれど、そうした経営者たちには(ルネには無い)肝心どころの判断や人を見る目などがあるのかな、という気がする
また、後悔の無い人生など存在しないだろうけれど、子供が幼い時に手を掛けられなかった、というのは最も大きな後悔になるだろう(結果的に問題なく成長するケースも多いのだろうけれど)と思った
1977年にニースで起こった実際の事件をベースにしたフィクション(カジノの跡取りが行方不明となり、現在も未解決)
日本ではまったく知られていない事件だけに、映画の中で現代に切り替わるシーンが唐突に感じられた
娘のアグネス役は、「水の中のつぼみ」、「午後8時の訪問者」で魅力的な演技を披露したアデル・エネル
2022年には、「映画産業は保守的で人種差別的で家父長制的」として映画界からの引退を表明、舞台を中心に活動している
明日は、耳の痛いタイトルの映画をご紹介