
引用元:muterium.com
個性的な髪形と髭、そして特徴的な「乳白色の肌」の裸婦像、2018年に東京都美術館で藤田嗣治展が行われていたけれど、その時にはこの映画の存在は知らなかった
1920年代のパリ
日本人画家の藤田(オダギリジョー)はモンマルトルに暮らし、画家やモデル仲間との乱痴気騒ぎに明け暮れながらも、その絵はやがてエコール・ド・パリ(パリ派)の旗手として認められ始める
フーフーという「お調子者」という意味の仇名で呼ばれることも厭わず、異国の地で自分の作品以前に、自分自身を知ってもらうことに必死だった
雪のように白い肌を持つリシュー(アナ・ジラルド)に「ユキ」と名付け、一緒に暮らすようになるも戦争が始まり、藤田は帰国を余儀なくされる
そして帰国した藤田を待っていたのは、軍部からの「戦意高揚画」製作の依頼だった
藤田は1933年に帰国、その後パリに戻るも第二次大戦が勃発し再度帰国、陸軍美術協会理事長に就任し、戦後は「戦争協力者」としてGHQからの聴取などの屈辱を受け、1949年に日本を離れている
海外渡航だけでも難しい(いくら必要だったのだろう?)時代に、パリの最高に楽しかった時代を享受した藤田にとっては、帰国自他時の虚無感は計り知れなかっただろう
ましてや陸軍からの依頼など忸怩たる思いがあっただろうに、と想像していたけれど、本作の中で藤田は、「絵が人の心を揺さぶることを知った」と言ったように肯定的に描かれている
「乳白色の肌」と呼ばれた特別な白色を、藤田だけが出せる理由について、本人は一切語らなかった
絵画修復時の調査により、その理由が判明し2011年に発表されたけれど、現代のファンや関係者よりも、当時の画家仲間がそれを知ったら何と言うだろうか?
明日は、そそるタイトルの映画をご紹介