引用元:cinematoday.jp
田んぼに囲まれた田舎町に住む吉子(岸井ゆきの)は、祖父の訃報を受けて葬儀に向かう
吉子の父・清二(光石研)に、その兄(若松了)と妹(水野美紀)という祖父の三人の子が集まり、準備を進めて行く
ところが、久しぶりに会った兄と弟は口論してばかり
年甲斐も無く、互いの至らない所が気になって(そしてそれを非難したくて)仕方がない
ついには妹にまで飛び火し、妹も堪えられず言い返す始末
その様子を見て吉子は、誰も祖父の死を悲しんでいない ように感じる
冠婚葬祭、特に葬儀では、久しぶりに集まる親族の性格というか性分が見えてしまうし、「あの人は今〇〇で」とかどうでも良い詮索が容赦なくあったり、プライベートな(しかもデリケートな)質問を大勢の前でしてしまう、などといった最悪なシーンに出くわしてしまう、特に田舎では
祖父の死のあっけなさ(そして誰もそれに向き合っていない様子に)に「インドでは死体がごろごろ転がっているのだろうか」という飛躍した疑問が吉子の頭に浮かぶ
そして吉子を含む若者たちは、下らない口論を繰り返すオトナたちへの諦め、嫌悪から、どん詰まりの田舎町に暮らす自分の存在を「無いもの」にして達観する
進学や就職で都市に出るつもりならともかく、そうではない者は達観したまま20代、30代、そして40代と過ごすのか?(思わず、前々回観た「悪人」とオーバーラップしてしまう)
後半、火葬場から実家に戻る途中のシーンが特に印象的
それまでの小競り合いレベルの口論が爆発し、互いに吐き出したことでスッキリする様子にこちらまで安堵させられる(しかし実家戻ったらさらに酷い口論になる)
Yogee New Wavesの挿入曲も素晴らしい
数年後にまた観たい作品
明日は、アニエス・ヴァルダ監督の長編デビュー作をご紹介