無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

985. 行き止まりの世界に生まれて

引用元:bitters.co.jp

 

原題は「Minding the Gap」

 

「格差に悩み続けて」というニュアンスだろうか

 

イリノイ州ロックフォード

 

どこかで聞いたことのある地名だな、、、と思ったら、映画「プリティ・リーグ」で、ピーチズという強豪チームが存在した場所だった

 

80年代以降、地域を支えてきた製造業も廃れ経済は後退、最も寒い1月には平均気温がマイナス7度にも下がるという極寒の街

 

元々、鉄鋼や石炭そして自動車など様々な産業へ舵を切りながら、ついには時代に乗り遅れた「ラストベルト」

 

70年代まで栄えていた工業地帯、ラストとは「最後」ではなく「錆びついた」の方で、中西部五大湖周辺をエリアを差している

 

2016年の大統領選では、行き詰まったラストベルトに住む人たちの票でトランプ政権が誕生したとも言われている

 

 

 

ロックフォードでいつも一緒にスケートボードをしていたビン、キアー、ザックの三人

 

やがて彼らもオトナになり、ザックには男の子が生まれ、キアーは不本意ながらも皿洗いの仕事を始める

 

そして当時から日常をカメラに収めていた映画監督志望のビンは、次第に自らが抱えていた父親からの暴力による精神不安をキアーとザックの彼女にも感じ、彼らに質問を投げかける

 

そして、思い出さないようにしていた過去に向き合う為に、DVの父親を(ビンの目には)許容していた母親にもカメラを向ける

 

 

一見、MTVなどで流れている若者の日常をダラ撮りした様なドキュメンタリー・フィルムのようではあるけれど、ここからロックフォードという街の取り残された様子や、そこに住む人たちの抱えている闇を感じることができる

 

今のアメリカのひとつのリアリティが真っすぐに伝わって来るし、貧困だけでなく、DV、家族、そしてオトナに成長していくとはどういうことか?を考える最高の教材でもあると思う

 

 

明日は、1966年公開の倍賞千恵子主演作をご紹介

 

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