引用元:amazon.co.jp
目玉焼き
何とも残酷なネーミングの料理ではあるけれど、時々(週末の朝に)食べたくなって、作る
フライパンにフタもしない、水も使わない、こだわっているのは、先に卵を器に入れてからフライパンを熱して、そっとフライパンに乗せること
弱火で数分、味付けは、塩とコショウを少しだけ
短時間でシンプルな作業ながら、そこには「工程」を感じられて、小さな満足感がある
2019年の公開
父(永瀬正敏)が亡くなり、子供たちは九州(設定では筑豊地方)にある実家に久しぶりに集まる
麟太郎(染谷将太)と姉の美也子(戸田恵梨香)がお通夜の準備をしていると頼んだはずの仕出しがキャンセルされているという
気の短い美也子が受話器の向こうの仕出し屋に声を張り上げるも途中で切られてしまう
すると騒ぎに気付いて近づいてきた母のアキコ(斉藤由貴)が
「言ってなかったっけ、今日は私が作るから大丈夫よ」と言う
親戚たちはすでに長い時間食事を待ってくれているというのに、、と呆れる美也子たちを置いて、平然と台所に戻るアキコ
しばらくして親戚たちが待つテーブルに出てきたのは「目玉焼き」だった
子どもたちがまだ小・中学生だった頃、再婚して一緒に暮らし始めた家族
父の連れ子で、新しい親に警戒心を見せながらも「この家族で新しい生活が始まる」という大きな期待を密かに膨らませていた美也子と、まだ何も理解できずその後それが壊れていく中で今だに「家族とは何か」がわからない麟太郎
そこに7年振りに戻って来る母の連れ子で長男のシュン(窪塚陽介)
「家族を作っていく」ことが如何に難しく、最初からある家族を維持するのとはまったく異なる作業だということがよくわかる
その中で子供がどう貢献できるのか、親の勝手な判断がどこまで許容されるのか
何が正解かもわからないし、間違えても生活を続けるしなかい中で、そこから逃げ出す者、何も言わず留まる者
こうして感想を書いていても「言葉にしづらい」想いが溢れて、胸にズシンと来る作品
麟太郎が家族についてぼんやり何か掴みかけるところが最大の救い
お葬式が終わって、麟太郎の彼女が登場する少し前から、エンドロールが始まるまでの数分間に魅せられた
いつかまた観直したい作品
美也子の夫役でカトウシンスケが出演している
明日は、一転して爽やかなサンフランシスコが舞台の作品を