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映画監督ミケランジェロ・アントニオーニを知ったのは、彼の作品ではなく、2000年にリリースされたカエターノ・ヴェローゾのアルバム「ノイチス・ド・ノルチ」に収録された「ミケランジェロ・アントニオーニ」という曲だった
カエターノらしい、うっとりする様な美しいメロディに「ミケランジェロ・アントニオーニって誰なんだろう」と彼の作品を観始めた
1964年のイタリア・フランス映画
イタリア、ボローニャ近くの工業地帯で技師として働くウーゴ(カルロ・キオネッティ)
彼が働く工場に、妻のジュリアーナ(モニカ・ヴィッティ)と息子のバレリオが訪ねて来るところから物語は始まる
ジュリアーナは、門の前でパンを食べながら同僚と話している見ず知らずの男に声を掛け、食べかけのパンを買い取り、物陰でそれを立ったまま頬張る
観る側としては、この時点で「ちょっとした覚悟をさせられたような」気分になる
工場に入り、夫から同僚のコラド(リチャード・ハリス)を紹介される
コラドはアルゼンチンにできた新しい工場で働く工員を探しているところだった
ジュリアーナの美しさと物憂げな雰囲気に魅了されるコラドだったが、夫から彼女は交通事故の影響で精神的に不安定な状況だと聞かされる
ミケランジェロ・アントニオーニ監督初のカラー作品
そしてタイトルを意識してしまったせいか、工場の排煙や、コートの色、白い壁にどの色が映えるか試すように塗られたペンキなど、色を意識させられるカットが多く、それらのカットがポスターの様に美しい
物語が観念的なこともあって、全体的な雰囲気を「観て」楽しむ作品に思えた
それにしてもこの時代の工場は(世界中どの国でも同じだろうけれど)環境への配慮ゼロなのがよくわかる