引用元:yahoo.co.jp
ここ数年、劇場でも密集しない空間に慣れているせいか、「すずめの戸締まり」は、まだ観に行けていないので、今更ながら2016年の大ヒット作を
近く、1000年に一度と言われる彗星が見られるというニュースで盛り上がる日本
東京の四谷に住む、男子校に通っている瀧(タキ)は、仲の良い友人に囲まれ、イタリアンレストランでのバイトも忙しく、充実した日々を送っていた
唯一気になるのは、最近田舎町に暮らす女子高生になる夢をみること
一方、飛騨地方にある糸守町に暮らす女子高生の三葉は、田舎町特有の人間関係や、町長である父親との関係などに限界を感じ、東京で暮らすことに憧れていた
そして三葉は逆に、都会に暮らす男子高校生になる夢をみていた
最初は(入れ替わった時の)慣れない行動を友人や妹から不思議がられるも、その日の行動を日記やスケッチに残しながら何とか対処していく
ところが、ある日を境にこの現象は途絶え、三葉の存在が気になったタキは、強引についてきた友人の司とバイト先の先輩ミキさんと三人で飛騨に向かう
唯一の手掛かりはスケッチという心許ない人探しながら、ようやく目的の糸守町に辿り着いたタキ
しかし彼が目にした光景は、3年前の彗星の破片が直撃したことによって消滅した町だった
「雲のむこう、約束の場所」で感じた「つき合わされている感」は、(ストーリーの想像度合いには大差ないのに)まったく気にならなかった
三葉が神社で巫女をしている設定から、タキが「口噛み酒」を飲むことで三葉のいた場所に繋がる等の構成も自然
口噛み酒と言えば、三葉が神社で水と生米を噛んで吐き出すシーンがある
ご飯をよく噛むと甘くなるように、米のでんぷんが糖化され、空気中の野生酵母で自然発酵して作る酒、、、昔の人の知恵の凄さと同時に、コロナを経験した今では尚更驚きの手法
火を使わないので「蒸留酒」ではなく「醸造酒」に分類される手法なのだろうけれど、この「醸」という字は、お酒を造る(醸す=かもす)、「噛む」から派生したもの
同様の手法は、アジアや中南米にも(米や木の実を使って)存在するという
自然という意味では、主人公の女性の描かれ方にも「雲のむこう、約束の場所」で感じられる過度なおしとやかさが無い分、ストーリーに集中できる
「万人受け」が良いということではなく、譲れない主軸以外は「伝わりやすさ」に注力していることが、エンタメ作品としての完成度に直結している印象
「公開時に劇場で」と思っていたけれど、あまりの人気と、元々「男女の入れ替わり」というモチーフに興味が持てないせいで、観るタイミングを逸してしまった
結果的には(入れ替わること自体を掘り下げているわけではないので)さして気にならず、「もっと早く観ておけば」と思った