引用元:amazon.co.jp
原題は「Thousand times good night」
世界の紛争地域で活躍する報道写真家のレベッカ(ジュリエット・ビノシュ)は、アイルランドに住む家族の理解もあり、公私ともに充実した日々を送っていた
ところがそう思っていたのは本人だけで、残された家族は常に「最悪のケース」を想定し、それに怯える日々に消耗していた
現場で事故に巻き込まれ負傷し帰国すると、夫のマーカス(ニコライ・コスター=ワルドゥ)から「もう二度と危険な場所には行かないでほしい」と言われてしまう
自分の撮る写真で世の中の人たちに紛争地域で起こっている惨状を知らせる
という信念が揺らぎ戸惑うと同時に、愛する家族に負担をかけていたことを痛感するレベッカ
自分の働き方をリスペクトしてくれた夫は家事や子供の世話を任せられ、妻の心配もあって疲れ果てていたし、上の娘ステフはもう難しい年ごろになっていた
公開時に劇場で観て、まだ記憶に新しいながら今回二度目の鑑賞
そして前回と同じように報道写真家について考えさせられた
確かに世に必要とされる重要な仕事ではある
一枚の写真で世の中を変えることもある
その写真は公平な立場にいる(と一般的には思われている)者が撮ったものである必要があるから、言葉も文化も不慣れで、現地では「もっともフラジャイルな存在」が時には拉致され多大な迷惑を母国等にかけてでも行く必要があるのだろう
一方で、使命感はどんな職業にしても重要ながら、過剰な使命感(先述の「世の中を変えることもある」が、「世の中を変えてやる」になってしまったり)は、命や身体とは別の意味で危険
本作でそうした台詞があるわけではないけれど、紛争地域から帰国した彼女が地元で働く夫や地域に暮らす人たちの姿をどこか物足りない(つまらない)ものとして見ていたようにも映る
特別な地域に出入りする許可を得た者のみが行える過酷な仕事
許可以外にも様々なエンパワーメントを背負ってその任務を遂行しているにしても、エンパワーメントされてサイズアップした姿を等身大の自分だと勘違いする人も多いのも事実
夫を演じたニコライ・コスター=ワルドゥは今回知ったデンマークの俳優
「何となく、歌がうまそうだなあ」
と思ってしまったのはダリル・ホール(ホール&オーツ)に似ているせいかも