今週(10月20日)、イギリスのリズ・トラス首相が辞任した
減税計画が市場の混乱を招き、党内の信頼を失ったとされているけれど、就任から44日で辞任というのはイギリス政治史上最短という(ちなみに日本の首相の最短在任期間は東久邇宮稔彦の54日)
イギリスはサウスロンドンを舞台にした1980年の作品(日本初公開!)
時の首相はマーガレット・サッチャー
戦後、労働力不足を補う為に、多くのジャマイカ人がイギリスにやってきた
彼らの安い労働力は、炭鉱などの過酷な現場仕事に費やされてきたが、サッチャリスムによる民営化、製造業の空洞化によって、ジャマイカ人たちも失業し、サウスロンドンに集落を形成するようになる
本作に登場するジャマイカ系イギリス人の青年・ブルーが暮らしているのも、サウスロンドンのブリクストン
昼間は整備士として働き、夜は仲間たちと組んでいるレゲエユニット「アイタル・ライオン」のDJとして活動していた
彼らは、職場でも自宅の周辺でも日常的に人種差別を受けていたが、抵抗すれば(圧倒的な人数の差で)やり返されたり警察から追いかけられるため、屈辱にも耐えるしかなかった(1972年のジャマイカのレゲエ映画「ハーダー・ゼイ・カム」で描かれる主人公たちよりも過酷な状況だ)
そんな鬱憤を晴らすのは、音楽活動の拠点であるガレージで、サウンドシステムのバトルで決勝戦に勝ち上がった彼らは、ライバルのジャー・シャカとの決戦に向けて余念がない
そんなある日、何者かによって彼らのガレージが荒らされ、壁には「黒んぼは出て行け」とスプレーで書かれていた
ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞
80年代のロンドンの風景に、当時のサウンドシステムの様子、そして何といっても想像以上にドンシャリ(低音と高音が強調され、中音が抑えられたサウンド)な大音量を身体に浴びる様な感覚で聴けたのは最高だった
この映画は、(DVDや配信ではなく)是非とも劇場で!
しばらくは本作のサントラ盤を聴いて、余韻を楽しみたい