引用元:Yahoo.co.jp
2017年のフィンランド・ドイツ映画
原題は「THE OTHER SIDE OF HOPE」
内戦が続くシリアのアレッポからトルコまで逃れ、そこから石炭を積んだ貨物船に潜り込んでフィンランドのヘルシンキで辿り着いたカーリド(シェルワン・ハジ)
石炭で真っ黒になった顔や身体を駅のシャワーで洗い流してから警察に向かい、難民申請を行う
何とかこの地で職を見つけ、ハンガリー国境で生き別れてしまった妹のミリアム(ニロズ・ハジ)を呼び寄せたいと考えていた
カーリドの家族で生き残ったのは自分と妹だけだった
そのヘルシンキで暮らす男・ヴィクスとロムは、仕事にも、アル中の妻との生活にも疲れ果て、家を出てしまう
すべてを売り払った金をギャンブルにつぎ込み、幸運にも大金を入手したヴィクストロムは、2万5千ユーロでレストランのオーナーになる
従業員たちはマイペースで覇気がないのは気になったが、それなりに繁盛している店を持つことができて、悪くない第二の人生を始められそうだった(なぜかこのレストランにはジミヘンの肖像画が飾られている)
難民申請が認められなかったカーリドは、強制送還される直前に監理局から抜け出し、逃走する
そしてネオナチの連中に襲われていたところを偶然ヴィクストロムに助けられ、彼の店で働くことになる
彼は店の倉庫部屋で寝泊まりもさせて貰え、偽造の身分証まで与えられる
人口約550万人のフィンランドに暮らす難民のうち、最も多いのはクルド人を含むイラク人が約1万2千人
続いてソマリア人が約7千人、アフガニスタン人6千人、そしてシリア人が約5千人
通常、難民申請の審査には、1年から4年という長い時間がかかるため、期限付きの滞在許可が出されることが多いようだ
上記の難民数は公式に認定された人数だから、実際にフィンランドに住んでいるシリア人たちはもっと多いのだろう
不法移民を雇ったり匿ったりするリスクがあるにもかかわらず、本作に登場する店の人たちはカーリドを優しくサポートする
一方で、その存在を強く拒絶し、暴力を振るってくるネオナチも存在する
国でさえ正解を模索している難しい問題に、個人レベルで直面する欧州に暮らす人たちのリアルが伝わって来る
前回のケリー・ライカート監督に続いて、アキ・カウリスマキ監督はこの作品からお気に入りに