無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

426. 舟を編む

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引用元:shochiku.co.jp

 

原作となった三浦しおんの小説が本屋大賞を受賞、アニメ化もされた作品

 

映画の方は2013年の公開

 

約10年も「いつか観よう」と思っていたことになる

 

 

 

時は1995年

 

とある出版会社で、38年間ずっと辞書の編集をしてきた荒木(小林薫)が定年を迎えていた

 

彼の上司であり辞書監修者でもある松本(加藤剛)は、彼ほど優秀な後任は見つからないと確信し、何とか引き留めようとするも、病気の妻の介護という譲れない理由もあり後任探しが始まる

 

ただでさえ難しい任務であることに加えて、辞書編集部は社内でも人気がなく、後任探しは難航を極める

 

 

そんな中、荒木の部下でまだ頼りない西岡(オダギリジョー)と社内恋愛をしている麗美池脇千鶴)からの情報で、言語学部の院卒生である馬締(マジメ - 松田龍平)ならいけるのでは?という話に

 

名前の通りマジメながら、コミュニケーション能力に欠ける彼は、今の部署でも浮いた存在ではあったものの、

 

「右」を定義せよ

 

という荒木のテストに合格し、辞書編集部は馬締を加えたメンバーで新しい辞書「大渡海」の編纂を進めていく

 

 

 

ちなみに上記の「右」の定義は、「西を向いた時の北側」という例も挙がる

 

なるほど、うまい例えだなあ、と感心しつつ

 

「ちょっとサウスポー(左投げ)の語源に似ているな」と思った

 

野球場は、バッターが眩しくならないように、ピッチャーに向かう方角を東(正確には東南東)に設計することが多かった

 

その場合、左投手が投げる前、足(paw)が南(south)に向くことからサウスポーと呼ばれるようになったとか

 

 

 

辞書を作るには、難しい言葉や新しい言葉を知っていることも重要ながら、こうした誰しもが知っている言葉を分かり易く説明できる能力も必要だということが本作を観るとよくわかる

 

高い知識と情熱に加えて、持久力も必要とされる大変な仕事

 

これからは辞書を使う時に、作った人たちのことをふと思い浮かべそう

 

 

 

辞書は言葉の海をわたる舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく

 

という意味でつけられた、辞書の名前「大渡海(だいとかい)」にもマッチしたタイトル

 

冒頭に書いた「約10年も観なかった」理由は、タイトルにピンと来なかったということもあるけれど、こうして鑑賞できた(しかも満足した)のだからヨシとしたい