無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

417. しとやかな獣

f:id:desertislandmovie:20210207163751j:plain

引用元:amazon.co.jp

 

1962年の作品

 

とは思えないくらいに「当時の日本でこんなクールなブラック・コメディがあるのか」と思わせる、なかなかぶっ飛んだ作品

 

ポン・ジュノの「パラサイト 半地下の家族」が影響を受けた作品だと聞いて鑑賞

 

確かに至る所にその影響がうかがえるし、中にはモロなオマージュ?も観られて二重の楽しみ方ができたけれど、それにしても57年前の日本映画

 

ちょうど若尾文子の作品を辿っていたところだったので、興味が繋がる感覚もあって余計に盛り上がってしまった

 

とにかく四人家族が揃って異常

 

極貧生活を抜け出して、「もう二度とあの生活に戻りたくない」という気持ちは理解できるけれど、全員が揃いも揃ってぶっ飛んでいる

 

 

都内のアパートの一室ですべてのシーンが撮られているけれど、その冒頭で「豊かな暮らしぶりを見せてはいけない」と、夫婦が居間にあるテレビを隠し、立派な灰皿をトイレに置いていた質素なものに取り換え、家人もみすぼらしい服に着替えるシーンから始まる

 

映画「愚行録」で冒頭のシーンで全体をイメージさせる手法について書いたけれど、本作もなかなか巧い始まりだ

 

 

それにしても若尾文子は、世代的に物心ついた時には「(自分の興味には関係しない)昔の大物女優」という認識だったけれど、こんなにも面白い作品を残していたとは

 

 

作品単体の予告は見当たらなかったので「若尾文子映画祭」の映像を ↓