引用元:amazon.co.jp
1955年のアメリカ映画
ジョン・スタインベック原作、エリア・カザン監督、そしてジェームス・ディーン主演
よく知られているけれど、ジェームス・ディーンの(クレジットされている)出演作品は、本作と、同年公開の「理由なき反抗」そして翌年の「ジャイアンツ」
しかも生前に公開された作品は本作のみ
もう何(十)年もジェームス・ディーンの作品を観ていなかったし、本作のタイトルの意味も忘れていたので、復習も兼ねて久しぶりに鑑賞
1917年のカリフォルニア
モンタレー近郊のサリナスという街に暮らすトラスク家
母親が亡くなって、父親のアダム(レイモンド・マッセイ)、双子の兄キャル(ジェームス・ディーン)そして弟のアーロン(リチャード・ダヴァロス)の三人で暮らしていた
アーロンは父親の言うことをよく聞く真面目な性格で、アブラ(ジュリー・ハリス)という優しい彼女がいた
正反対に兄のキャルは父親の言うことを聞かず問題を起こしてばかりいて、いつも拗ねた態度で家族に迷惑をかけている
そんなキャルは、ある噂を耳にしてから無賃乗車でモンタレーまで行き、酒場を経営している中年女性に近づく
その女性こそ「亡くなった」と聞かされていた母親かもしれなかった
誰もが何らかの形で目にしてきた「愛情を注がれなかった若者が苦悩する姿」をジェームス・ディーンがストレートに表現している
不良青年が演じる同じような作品は古今東西、山のように存在するけれど、例えば「東京暮色」で母親を追い求める次女など、本作から影響された(であろう)優れた作品は数知れない
今の10-20代が本作を観ると(あまりにステレオタイプに見えて)まどろっこしく感じるのか、或いは新鮮に受け入れるのか
反抗的な兄のキャルを中心にして、その対比として弟のアーロンが描かれているせいか、父親のお気に入りの品行方正な息子という想定を出ない
終盤の展開を考えると、もう少しアーロンの個性を掘り下げた方が深みが増すと思った
タイトルの「エデンの東」(East of Eden)とは、父アダムが病床に伏していた時に、彼の友人でもある保安官のサムが
「アダムとイブのカインは、嫉妬のあまり弟のアベルを殺す やがてカインは去りてエデンの東ノドの地に住みにけり」
と旧約聖書の一節を語り、キャルにサリナスから出て行くように促すシーンから
本作の解説にキャルが弟でアーロンが兄としているものや、兄弟の表記が無いものもあるけれど、カインとアベルがキャルとアーロンであろうことからすると、キャルを兄とするのが自然だろう