無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

378. 永い言い訳

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引用元:amazon.co.jp

 

西川美和監督が自著を映画化した2016年の作品

 

作家の衣笠幸夫(本木雅弘)は、友人とスキーツアーに出掛けた妻の夏子(深津絵里)をバスの転落事故で失ってしまう

 

妻への愛情は冷めていて、またこれまで人を深く愛するということをしてこなかった幸夫は、妻が亡くなったその日、自宅で不倫相手の女性と過ごしていた

 

マスコミの手前、悲しむ様子を演じてはいても、心の底からの悲しみは沸き上がってこなかった

 

 

遺族に対するバス会社の説明会に参加したところ、妻と一緒にバスに乗った友人の夫、大宮(竹原ピストル)に、妻を亡くした悲しみを分ちあおうと話しかけられる

 

トラック運転手をしている大宮は、粗野な性格ながらも優しくナイーブで、愛する妻の死を受け入れられず、ふたりの幼い子供の面倒などの現実に対処できないでいる

 

そんな大宮をみて、幸夫は兄弟の世話をすることを申し出る

 

 

それは著名人として他者とのかかわりを極力避けてきた自分、そして子供が居なくて育児の経験がない時分、何よりも人のためにサポートなどしたことがない自分にとって、意外な行動であり、本人にも説明がつかないものだった

 

中学受験を控え、難しい時期に差し掛かってきた真平と、まだ幼くて聞き分けの無い灯り(あかり)のふたりの面倒を見るのは思ったよりも難しいながらも、幸夫は器用にこなし、ふたりの信頼を得ていく

 

そんなある日、自宅に戻った幸夫は、妻の携帯に下書きされていた自分宛てのメッセージを見てしまい、絶望する

 

 

 

 

 

久しぶりにズシンとお腹に来る邦画を観た

 

真平と一緒に電車で大宮のもとに向かう幸夫が言う

 

「自分のことを大切にしてくれる人を粗末にしちゃいけない」

 

という(ニュアンスの)台詞が印象的

 

その言葉を発した自分こそが、それを出来なった人だという

 

自分の発した言葉にショックを受けているように映った

 

 

ちなみに主人公の本名、キヌガササチヲは広島カープで活躍した鉄人衣笠と同姓同名

 

広島出身の西川監督が、本人に許可を取った上で使われた役名