2019-2020年の民主化デモから気になっていた香港の動向
本作は中国で起こった文化大革命、天安門事件、香港で起こった六七暴動を体験した三人の香港人を軸に、雨傘運動以前の香港の若者たちを描いた作品
ということでユーロスペースにて鑑賞
香港映画といえば、時代の波に翻弄される若者を描いた「ラブソング」の様な作品もあるけれど、「花様年華」や「恋する惑星」、「過ぎゆく時の中で」など、他の都市には無い魅力を放っている作品も多く、憧れに近い想いをずっと持ってきた
しかしイギリスや中国の管理(という表現では済まない)の中で、当たり前の主張をした、それを撤回しなかった香港人が、如何に酷い仕打ちを受けてきたかと克明に描いている
また本作の関係者や出演者が拘束中であることで、香港人の150年にも及ぶ「憂鬱」が現在も進行中であることがわかる
回想ドラマを演じているのはプロの俳優ではなく一般の香港人で、中には2019-2020年の民主化デモで逮捕された学生もいる
中国やイギリス当局が言うところの「非」を認めれば、犯罪歴も消えて将来の不安もなくなると知りながらも、主張を曲げない香港人の若者の姿に
「とても自分には出来ないな」とも
「もし、そういう境遇であればそういうメンタリティになるかも」とも感じるけれど、いくら想像しても日本で生まれ育った自分には分からない
これまで香港には、特別行政区として様々な特権が認められ、中国には大きなメリットがあったのだろうけれど、中国がここまで経済成長して香港への依存度が低下する中で、今度はどう扱われるのか
エンドロールに数多くの「anonymous = 匿名」が見られ、この作品が公開されるまでの険しい道のりとリスクについて考えさせられた