引用元:shochiku.co.jp
大井町が舞台の作品
品川駅までひと駅、そして横浜まで20分ながら、どこかタイムスリップしたような感じの町
随分前に「きゅりあん」という大井町にあるホールで行われるライブを観に行ったきりだけど、その日早目に着いてしまい周囲を歩き回っていると(街並みの独特な雰囲気に)何だかえらい遠くまで来たような気になったのを覚えている
1983年の作品
時代屋という屋号の骨董屋を営む男、安(渡瀬恒彦)のところに、一風変わった女、真弓(夏目雅子)が居ついてしまう
あぶさんという名前の猫と一緒に
「品物じゃなくて、時代を売るから時代屋」
ということで、安物ばかりではあるものの歴史と思い出に溢れた品が店内に所狭しと並べられている
一緒に暮らすようになってからも、安は真弓がどこから来て何をしていたか一切尋ねない
そして真弓は、突然出て行ったきり数日帰ってこないことがあり、安だけでなく街の人(飲み屋やクリーニング屋の人たち)も心配しながら帰ってくるのを待つ
80年代東京の風景が余すところなく収められていて、改めて40年という時の長さを感じさせられる
もう帰ってこないと思われていた真弓が、時代屋の前の歩道橋を歩きながら手に持った南部鉄瓶(以前、安と仕入れに向かった盛岡の古民家で買えなかったもの)を、戦利品のように嬉しそうに掲げている(↑ のポスター参照)ところがラストシーン
まるで猫の様に定住しない真弓を失いたくないハズなのに、「互いに干渉しない主義」を決め込んで必死に我慢する安
今のご時世「愚か」の一言で片づけられるのかもしれないけれど、無粋よりは愚かであろうとする昭和の美学が感じられる