無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

222. 天城越え

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引用元:shochiku.co.jp

 

1983年の作品

 

松本清張による原作は、1959年に書籍化された短編集「黒い画集2」に収録

 

 

 

下田の鍛冶屋に住んでいる16歳の少年(伊藤洋一)は、大好きな母の情事(父とは異なる男との)を目撃してしまい、家を飛び出して兄のいる静岡を目指して歩き始める

 

 

天城のトンネルを越え夕方になった頃、目の前に大きな男が歩いて来るのを見て、以前気をつけろと言われていた流れ者だと確信した少年は、家出を諦めて下田に引き返そうとする

 

ちょうどその時、別の方角からひとりの女性(田中裕子)が歩いてくるのが見えた

 

その女性が通り過ぎるのを待ち、その後ろを歩いていると「ちょうどいいから下田まで一緒に行きましょう」と誘われ、少年はこの女性と歩き始める

 

 

 

原作が短編小説ということもあって、いわゆる松本清張作品らしさ(殺人の動機を探っていくような)を求めて鑑賞すると肩透かしを食らってしまうけれど、描写の少なさが受け手の創造を掻き立てるような独特の魅力がある

 

 

冒頭で、母の情事を目撃したショックで家出と書いたけれど、少年が生まれ育ったのは伊豆半島の先の下田

 

自然に恵まれた素晴らしいところながら、東海道から随分離れた田舎町は少年にとって閉塞感しかなかったのかもしれない

 

ましてや兄が静岡で暮らしているとなると下田から抜け出して他所の土地を見てみたいと強く思うのは自然なことだろう

 

 

天城のトンネルを越えると風景も変わり、少年の中に異国に来たという感覚が生まれると同時に不安にもなり、大きな男を見て引き返そうとする様子は何とも微笑ましい

 

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