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音楽については好きなシンガーやバンドはもちろん、気に入ったアルバムのサウンドに特徴があると思えばプロデューサーやエンジニアで辿るような聴き方を高校生の時には既にしていた
けれど、映画に関してはまったくの無作為
しばらく経ってお気に入りの主演俳優ができるとその人の過去作品を観る程度だった
本作は「この監督の他の作品も観てみたい」と初めて思った作品
その時から映画監督という存在を意識し始め、ビリー・ワイルダーという名前を覚えた
そしてヒッチコック、ヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュ等々と続くことになる
1960年のアメリカ映画
マンハッタンの大手保険会社で働くバド(ジャック・レモン)は、出世する為に、セントラルパーク近くの自宅アパートの部屋を、お偉いさんたちの愛人との密会用に貸し出していた
その甲斐あって係長に昇進したバドは、エレベーター・ガールのフラン(シャーリー・マクレーン)を映画デートに誘うも、すっぽかされた挙句に(後日部長に返した部屋に置き忘れていた)手鏡をフランが持っていたことで、フランはお偉いさんのひとり(シェルドレイク部長)と不倫していることが判明しひどく落ち込む
不倫の話ではあるし部屋の中のシーンが多くて、陰のある映画になりそうな作品
ワイルダー作品でお馴染みのオードリーではイメージに合わないし、モンローだったら暑苦しくなってしまうところを、シャーリー・マクレーンの明るさがうまく緩和している
オフィスのシーンでは大勢の社員が机を並べている(大部屋に100人は居るのではないだろうか)2021年の今、このシーンを冷静に観ると圧巻でさえある
保険会社にどうしてこんなに事務スタッフが必要なのか?
この映像を観ると、人間が生み出したテクノロジーによって仕事を効率化してきたのだなあと、よく理解できる
過去15年間で減った仕事を調べてみると、農耕作業者(海外からの輸入増とテクノロジーによる効率化による)、そして会計事務(コンピューター化による)が顕著らしい
逆に増えた仕事は「介護」
余った労働力を必要される業界に回せているのなら悪いことではないけれど、この変化を果たしてどう理解すべきなんだろうか?
いつも邦題の文句ばかり書いている気がするけれど、本作の原題は「The Apartment」
作風にもマッチした素晴らしい邦題