引用元:eiga.com
大学院生の白石珠(門脇麦)は、ゲームデザイナーの卓也(菅田将暉)と同棲中
平穏な日々を過ごしていたところ、修士論文のテーマに担当教授の篠原(リリー・フランキー)から「尾行的哲学」を勧められ、心のバランスを失っていく
「無作為に選んだ対象で、その対象とは接触しない」というルールでの尾行
という一応の建前はあるものの、かなり不安な心境で(そりゃそうだ)隣人の石坂(長谷川博己)を尾行し始める
尾行することで、豪華な一軒家に美しい妻と可愛い娘と暮らす対象者の秘密が次々と明らかになっていくことで、球は罪悪感と高揚感から尾行をやめられなくなってしまうと同時に卓也との関係が疎かになっていく
2016年の公開
菅田将暉出演ということで、(嫌いな俳優ではないのに)「彼が出演していることが作品のセールスポイントだったら嫌だなあ」と思っていたけれど、実際には意外なほど脇役に徹していた
それでも、唯一の見せ場での台詞と、それに対する門脇麦の反応は本作一番のシーンだった
修士論文のテーマとか状況設定には無理があるし、尾行シーンは背徳感強すぎて落ち着いて鑑賞できなかったけれど、哲学と道徳を考えながら観るのは新鮮で興味深い
道徳は「善悪の認識のもとに順守するもの」と説明できるけれど、哲学は「原理、理想を追い求めるものだっけ?」と、表現しようとする途端に頭が痛くなるけれど、このふたつは相容れないことが多そうだ
法律や世間の常識の中で「哲学的な実験」を行うのは非常に危険だし、ましてやそれを映画作品の中で表現するのはかなり無理があるけれど、本作のアプローチは悪くないと思う