引用元:filmarks.com
興味のある場所が舞台の作品が続いたので、リセット(?)も兼ねて、2009年の日本映画
白石和彌監督の長編デビュー作
本作から3年後に「凶悪」、6年後に「日本で一番悪い奴ら」、そして7年後に「彼女がその名前を知らない鳥たち」などが公開される
作り手としての想いやアイディアがたっぷり詰まっているのがデビュー作とは言うけれど、まさしく「次の機会はないかもしれない」という全力投球感に溢れた作品
幹生(小林且弥)は都内に住む20代のサラリーマン
マンションの販売会社に勤めてはいるけれど、強引な電話と訪問販売を求められるブラックな環境に馴染めないでいる
知的障害を抱える兄、実生(ウダタカキ)とアパートでふたり暮らし
出社する時には、兄が外に出て周囲に迷惑をかけないように頑丈なチェーンを外から掛けるようにしている
幹生はある日、兄の為にデリヘルを頼むが、そこに現れたのはマリン(内田慈)という気の強そうな女性で、敬遠しても不思議ではない状況にむしろ積極的に入り込んでくる
かつて兄が犯してしまった犯罪が、幹生の生き方に重くのしかかる
マリンのもうひとつの顔を追って取材をする実に下世話な演出家を米山善吉が好演している
どうやら現在は俳優業を引退している模様
強烈な印象を与えられる俳優だと感じたのに、残念
リーマンショックで世界的に景気が低迷していた頃、まさにガラパゴス的に勢いのあった当時の秋葉原の様子が見られるのも面白いし、数年後の今こうして客観的に眺めると、薄っすらと慢性的な病を抱えていた平成の日本が見えてくる気がする