引用元:Yahoo!映画
2014年の作品
女性銀行職員が、年下男性のために犯罪(横領)を犯してしまうというストーリー
(実話をベースにしているわけではないらしい)
銀行で契約社員として働く梨花(宮沢りえ)は、エリートの夫と都内で二人暮らし
安定した平穏な毎日ではあるけれど、夫は自分の仕事にも理解が薄く、妻として充実感の無い日々を過ごしていた
ある日、梨花は顧客から預かっていた1万円を(手元に持ち合わせがなかったからという理由で)使ってしまう
もちろん直ぐに戻すつもり(実際にそうした)だったけれど
「顧客のお金を一時的に持ち出すことに成功し、その行為が露見しなかった」
という気づきは、梨花の感覚を狂わせていく
そんな時に出会った顧客の孫の大学生、光太(池松壮亮)と梨花は恋に落ちてしまう
冒頭に書いたように
「女性銀行職員が年下男性のために犯罪、、 」
と書くと、ありふれた貢ぎ系の横領映画みたいだけれど、本作の肝は、光太の登場は、梨花の犯罪が加速するタイミングにたまたま合ってしまっただけ、というところ
もちろんこの二人が出会っていなければ、梨花の軽はずみな犯罪は自らの埋め合わせで露見しなかった(そして以降は足を洗っていた)だろうし、同じタイミングで出会った魅力的な男性なら「誰でも良かった」ということでもないだろう
とはいえ梨花の犯行は、光太のために行われたものには思えなかった
大学生に貢ぎたかったわけでもなく、贅沢な暮らしに憧れていたわけでもなく、単純に気がおかしくなる程に退屈していて、尚且つ夫からのリスペクトの無さに絶望し、日々の生活に微塵も意味を感じられなくなってしまったのだろう
夫にとっても、職場の人たちにとっても「私でなければいけない理由」なんてどこにもない、という思いが強くなり、自身の存在意義への不安が止まらなくなったのだろう
同じ様な境遇に生きている人たちが、同じ様な過ちを犯すことなく生活できているのは、倫理観や、配偶者からの理解や、愛情、或いは我慢によって叶えているとは限らない
「私って(俺って)結構頑張ってるじゃん」
という風に、勘違いでも「自分の存在意義を信じる」ことは大切
もちろん過信すると別の問題が起こってしまいそうだけど、冷静過ぎる状況判断は人を幸せにしない
映画を観終わって劇場から通りに出た瞬間が好きだ
現実から切り離された暗い箱の中から出て、喧騒、ネオン、通行人の動きなどに一気に包まれる感覚が面白い
特に異国だったり、昔の話だったりすると、目の前の街とのギャップに(時間にすれば2秒間くらいか?)意識が追い付こうとする感覚
本作の舞台は現代の東京
その感覚を楽しむことができたのは、時代や国の違いはなくてもストーリーの非日常性かもしれない