無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

83. あの日のオルガン

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#この1年の変化

 

 

昨年の3月頃からテレワークが始まり、自宅で過ごす時間がかなり増えた

 

オフィスまで往復で150分かかっていた時間が有効に使えるのは有難いけれど、しばらくするとメリハリのない生活にちょっとした焦りを感じた

 

その時には

 

「もしかしたらテレワークがあと数か月は続くかも」

 

という、今思えば大甘な予想ながらも、普段とは違った仕事が増えてむしろ忙しくなったこともあって

 

「ぼんやりしてたら今からの数か月、仕事だけで終わってしまう」

 

と思い、そして

 

「仕事と食事と休息だけの繰り返しだと苦しいな」

 

ということで気分転換も兼ねて、ひたすら映画を観ることにした

 

いくら忙しくても通勤時間で(通勤してないけど)一本観られるのだ、それに加えて身体が疲れていないから多少睡眠を削ることもできるし、週末なら4-5本観ることもできる

 

不思議なものである程度続くと、「観始めるためのエネルギー」が全然かからなくなっていることに気が付いた

 

缶ビールのプルタブを「プシュッ」とやるくらいの気持ちで観始めて3分経てば、ストーリーに入り込んで最後まで観てしまう

 

春、夏、秋、冬、平日の夜中、そして週末、古い邦画から、観たことの無い国の作品、以前見た好きな作品を観直したり、気に入った監督や俳優の過去作品を辿ったり

 

この生活を初めてもうすぐ1年になるけれど、飽きるどころか映画の魅力にまだまだ浸かっていける感覚

 

 

スポーツ観戦は試合そのものが中止されていたし、読書でも、音楽でも、楽器の練習でもなく、もちろん勉強でもなく、映画が(自分にとっては)ちょうど良かったのだろう

 

備忘録として昨年6月から始めたこのblogもなかなか(インプットに対して)アウトプットが追い付かない

 

今後テレワークが減ったり無くなったとしても、(鑑賞本数が減りはしても)この習慣は変わらないだろう

 

そう思うと2020年のささやかな収穫ではある

 

 

 

 

 

時は1944年

 

品川にある戸越保育所では、日々刻々と状況が悪化する中、子供たちの命を守るために保育所疎開を考えていた

 

保母たちが探し回った結果、埼玉にある荒れ寺で疎開生活をスタートさせることになるも、その寺には窓ガラスも無く、夜は子供たちのオネショに悩まされ、大変な毎日が続く

 

暗くなってしまいがちなストーリーだけど、無邪気な子供たちと個性的で明るい先生たちによって救われている 
 
リーダー(戸田恵梨香)は、いつも何かに怒っているけれどしっかり者で、甘えん坊の新人保母さん(大原櫻子)は、オルガンが得意で子供たちと一緒に歌っていて、まわりの保母さんたちもみな子供が大好きで、無事に戦争が終わる(その時まで子供たちの命を守る)ことだけを祈って明るく必死で生きる姿に胸を打たれる
 
保育所はいつの時代も、その先の小学校、中学校とは違って、勉強も競争もなく、みんなで遊んだり歌ったりする場所であってほしい
 
 
 
本作の監督は、平松恵美子
 
都内でOL(24歳)として働いていた時、新宿ピカデリーで見た塾生募集のポスターがきっかけで会社を辞め、松竹の養成塾に入り、山田洋次監督の「学校」で助監督見習いとしてキャリアをスタートさせ、以降山田組に加わっていく
 
本作にも山田洋次作品の味わいがしっかり継承されている
 
 
2019年公開