引用元:filmarks.com
1993年の公開時以来、28年振りの鑑賞
フィリピンパブで働くコニー(ルビー・モレノ)に入れあげるタクシー運転手の姜忠男(岸谷五郎)が、在日として様々な摩擦を感じながらも、周囲の個性豊かな仲間と過ごす日々を描いた作品
崔洋一の監督
前回は 「今」の映画として、今回は「80年代モノ」として楽しめた
「そりゃそうよ」
と思われるだろうけれど、それだけ当時の空気感が本作に凝縮されているし、今振り返ると懐かしさも一入
同時期の映画が全部そうか?というと、もちろんそんなことはなくて、この映画の作り方とそもそもの魅力によるものだろう
冒頭の結婚式のシーンで、「北」出身者と「南」出身者が共存しつつも、互いを意識し過ぎていたり、タクシーの中で忠男に対して生意気な態度をとる若いサラリーマン(萩原聖人)の無知さ加減だったり、在日周辺のあるあるを、在日監督ならではのアプローチで撮っている、、、なんて28年前には思わなかったなあ
ゾッとしたのは、当時も今も在日に対する認識が(自分の中でも、日本の社会でも)大して進んでいないこと、もちろん表面的な言葉遣いなどは改善されてきたのかもしれないけれど、中身は経過年数にまったく見合うものではない
そして、日本もコリアも驚くほど成長していないこと(別に近代化すれば良いというものでもないけれど)
本作が、娯楽映画として風化していないのは素晴らしいけれど、国や文化がの成長が乏しくて風化していないのは悲しい
「忠さん、金貸してくれよー」
不思議とこの台詞はハッキリ覚えていて、聞いた瞬間に付随する記憶が蘇ってきた
この台詞が口癖の新潟出身の同僚(有薗芳記)の危うい感じも、前に観た時は気にならなかったけれど、今回は恐ろしくて直視しづらかった
28年後に三度目の鑑賞をしてみたい
その時(2049年!)にはどんな世の中になっていて、どんな感想を持つのだろう