無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

60. 娘・妻・母

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1960年、成瀬巳喜男監督の東宝映画

 

都内山の手に住む中流(より少し裕福に見える)の家庭

還暦を迎えた母親と長男夫婦、独身の末娘で暮らしているところに、未亡人となった長女が戻ってくる

 

長男がある日、投資に失敗し、家族の間で醜い言い争いや、あけすけなお金の話が繰り返され、そんな状況に胸を痛めた長女はある決断をする

 

 

 

母役に三益愛子、長男夫婦に森雅之高峰秀子、出戻りの長女を原節子、と成瀬監督が当時の東宝オールスターをキャスティングしたホームドラマ

 

話は金融商品の勧誘から始まる

 

小さな子供にキャラメルを与えてまで情報を引き出したり、大人同士で親の財産について慎みのカケラも無い会話をしたり、本作に出てくるような口調(早口で単刀直入)にはかなり抵抗がある

 

本作でも周囲がみなチャキチャキ過ぎて(ひとりだけまとも?もといおっとりした)長女がいい様に利用されてしまう

 

家族の会話量も多過ぎて、仲の良い家族なのかもしれないけれど、とてもじゃないけど気が休まらない

 

金融商品を勧誘するのは杉村春子

 

観ている側が自然と「(散々割を食ってきた)原節子が最後に幸せになること」を望みながら観てしまうせいか、杉村春子がまるで悪役レスラーに見えてしまう

 

損な役どころだけれど、杉村春子が演じることで話が安定するというか、モヤモヤする展開でも安心して観ていられる