引用元:filmarks.com
2016年公開の是枝監督作品
「なりたかったオトナ」になれたのか?
というテーマに、「なれなかったオトナたち」がもがく様子を描いている
みんな生きていく中で、希望を抱いたり目標に向かって努力したりするけど、現実には失敗や挫折の連続でなかなか理想が叶うことはない
かつて文学賞を受賞した作家の良多(阿部寛)もそのひとりで、作家としての活動は長いものの、今は休眠状態で(作家活動としてのリサーチとして)興信所の調査員として生計を立てている
元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされているけれど、月に一度の息子真悟(吉澤太陽)との面会日を楽しみにしていて、その日ばかりはつい無理をして散財してしまうのだった
その大事な面会の日、団地で暮らす母、淑子(樹木希林)の元を訪れるも、夜に台風の直撃を受け、良多と真悟、そして真悟を迎えに来た響子は、淑子の家で一夜を共にする羽目になってしまう、、、
とにかく良多がだらしなく、周囲は呆れながら彼に忠告する
「どうして今を大切にせず後で悔やむのか」と
本人にしてみれば大した悪気はないのだけど、(大事なことだと理解はしていても)目の前の別な(些末な)ことに気をとられ、つい疎かになってしまう、、、その姿は本来直面すべき課題から逃げ続けている様にみえる
この「後回しにしてしまう」癖?というのは、今だと程度によっては ADHD(多動性障害)と言われてしまうけれど、本作ではもちろん
「まったくもう、この人ったら」
という扱われ方である
皆、遅かれ早かれ、渋々課題に向き合っているわけで、そういう意味では良多のだらしない暮らしぶりは羨ましくもある
映画タイトルは、本編にも登場するテレサ・テンの「別れの予感」より
ハナレグミの「深呼吸」も本作の「人生、思うように行かないよなあ」という空気感にぴったり