引用元:Yahoo!映画
2012年のアメリカ映画
長年メジャーリーグのスカウトとして、気になる選手を(家庭も顧みず)追いかけ続けてきたガス(クリント・イーストウッド)も年齢には勝てず、最近は視力もグッと衰えてきた
周囲から引退を勧められるも、頑固者のガスは彼らの意見ひとつひとつに噛み付き、反抗する(しかし身体の異変と、それがごまかせないレベルに達しているのを一番わかっていたのは本人)
ずっと手をかけてこられなかった後ろめたさもあって、ガスはひとり娘のミッキー(エイミー・アダムス)とも折り合いが悪かったが、人生の終盤に差し掛かってきた今、何とか状況を改善したいという想いが日に日に増していく
ミッキーも同じようにガスとの関係を修復したいと願っていたから(弁護士の仕事が佳境に入っていたにもかかわらず)ガスの身体を心配をして、気になる選手の試合を観に行く仕事を助けようとするも、偏屈なガスは素直に受け入れられない
本当にダメな父親の姿が、本作で使われるジョン・ハイアットの名曲「Have a Little Faith in Me」で歌われる世界(不器用な男の誠実さ)と重なる
2011年に公開された「マネーボール」では、これまで野球経験者の感覚に頼ってきたスカウティングや采配を、統計を重視した手法に転換したことが話題になったが、翌年公開された本作は、往年のスカウティングが疑問視されていく過程にスポットを当てながら、主題はあくまでも親子の関係修復
野球好きには、両作品とも味わい深い内容だけど、野球に興味が無い人にもお勧めできるのは本作の方だろう
原題 の「Trouble with the Curve」は、「カーブが苦手な打者」に準えながら、「変化球が見えなくて正しい評価ができなくなったスカウト」を表したものか
或いはカーブを人生の曲がり角に見立てて「老年期の困難」的なニュアンスなのかもしれない