引用元:amazon.co.jp
1989年公開のアメリカ映画
それまで人種差別をテーマにした映画は(差別に対する否定度合いは抜きにして)白人視点で作られた重苦しい映画ばかりだったところにスパイク・リーが自ら監督、脚本、主演した本作は当時大いに話題になった
何となくあらすじも知っていたからすっかり観た気になっていたけど、去年「ブラック・クランズマン」(同じくスパイク・リーが監督した作品 70年代のコロラドでKKKへの潜入捜査をする話)を観たこともあって、この機会に鑑賞してみた
確かに撮る人(の立場)が変われば映すものも変わることが良くわかる
同じテーマでも新鮮だし、リアルだし、会話のひとつひとつが響いてくる
この映画から30年以上、「アラバマ物語」(1962年)から数えればその倍近くも経った今でも同じ問題をとり上げたテーマの映画が作られていて、現実でも同じ様な事件が起きている
遠く離れた島国に住んでいる身では理解できないところもあるだろうけど、皆で目指すゴールとは別に個人では(問題はこの先もそう簡単には解決されないという前提で)どう向き合うかを考えることが必要なレベルなんだろう
ロス暴動(ロドニー・キング事件)をモチーフにしたのかと思ってしまうけど実は映画の方が先(ロス暴動は92年)
主人公のムーキー(スパイク・リー)はブルックリンの住民でイタリア系アメリカ人のサルが経営するピザ屋で出前として働いている
ある夏の暑い日、常連客のバギン・アウトがシナトラやアル・パチーノなどイタリア系著名人の写真が飾られた店の壁を見て、アフリカ系アメリカ人の写真も飾ってくれと文句をつける さらに大音量の音楽が流れるラジカセを抱えたラジオ・ラヒームが入ってきて店には不穏な空気が充満する
店主は人種差別主義者ではないし、ひとつひとつの出来事は大した話ではない、しかしその日の温度は37度を越えていてみんなどこかイライラしていた、、、どこかで誰かが止めることもできたハズなのに最後には取り返しのつかないことになってしまう
人種差別も暴動も決して許されるものではないけど、ちょっとした反抗的な言動や好き嫌いは日常に溢れている そのふたつは直結するわけじゃなく至るまでにはいくつかの段階があるはずで、その途中「どこかで誰かが止めることができた」ハズなのだ
ちなみにリーが着ているユニフォームはかつてドジャースがブルックリンの球団だったことによる ブルックリン・ドジャースがロスに移転したのは57年のシーズン終了後のことだから同年生まれのリーには記憶も無いだろうに